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古文書修補・研修日記96

2週間あいてしまった修補作業は、前回終わらなかった新資料の調査(開披)作業から始まりました。
下の写真のような資料に取り組んでいます。
DSC00916_20170325004612d0f.jpg

資料調査あるいは古文書の目録採りをした経験のある方なら、この資料は「虫損甚大につき不開」として、現状のまま静かに封筒に戻す類いのものではないかと思います。

資料館の試みとして、このような「不開」扱いとなっていた資料を、あえて修補してみる、ということになり、今、多くのスタッフの方が大なり小なり似たような資料に取り組んでいます。

できるだけ大きなパーツが残るように開披作業を進めていますが、紙は非常に弱っていて、ぽろぽろ崩れてしまいます。
これらの資料に関しては、あえて避けてきた「ふのり」を使うことにしました。

横山先生に改めて「ふのり」を使う効能と手順について説明していただきましたが、今日も資料の開披(ほとんど解体)作業に終始してしまい、「ふのり」を使う作業は来週の朝から一日がかりで…ということにしたので、詳細は次回の研修日記でまとめて書きたいと思います。

〈研修日:2017/03/22 後藤恵菜〉

ネットワーク通信19:東秩父村教育委員会 井上知明さん

こんにちは。千葉資料ネットワークの一牛です。春の陽差しが暖かくて嬉しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

さて、この「ネットワーク通信」は会員相互の交流をはかり、また、資料ネットを広く世間の方に知ってもらうために行うもので、会員が交代で簡単な文章をブログ・ML上に発信し、それをリレー形式でつなげていこうというものです。
第19回目のリレー走者は、東秩父村教育委員会 井上知明さんです。よろしくお願いいたします!

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ネットワーク通信19
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東秩父村教育委員会事務局の井上知明(いのうえ・ともあき)と申します。

まずは、簡単に自己紹介をします。
・1992年 千葉県野田市生まれ
・野田市内の小中学校、松戸市内の高校を卒業し、
・大学は文学部史学科に入学。大学では日本近世史を専攻し、卒業論文では現在の鎌ヶ谷市を中心に論文を執筆。
・2015年 東秩父村役場に就職し、2016年度から東秩父村教育委員会で文化財を担当。

私は生まれも育ちも野田で過ごし、大学卒業と同時に、もともと縁もゆかりもなかった埼玉県秩父郡にある東秩父村で働いております。東秩父村は埼玉県内唯一の村で、人口3000人弱の非常に小さな自治体です。1300年の歴史を誇る「細川紙」が2014年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
私は子どもの頃から学芸員という職業に憧れがあり、大学は史学科に進学しました。大学入学と同時期に地元、野田市郷土博物館でアルバイトを始め、市民向けの講座や、資料整理などの仕事をしました。大学2年次頃から史料調査会や学会にも参加しました。
大学4年次のときに学芸員採用掲示板を見て、東秩父村の採用試験を受験しました。しかし、採用試験では、意外な結果となりました。面接直後に電話をもらい、学芸員ではなく、一般事務職として採用したいという旨でした。大学院修士課程から合格をもらい、入学金の納入も済ませていた頃。役場への就職条件が、消防団加入であることや、給与面での待遇などで悩みましたが、学芸員は非常に狭き門であるため、いずれ希望が叶うことを願い就職をしました。
一般事務職採用ということで、どこに配属されるか不透明ななか、建設課に配属が決まりました。建設課では土木担当で、道路管理や測量をしました。台風や大雪の際は倒木除去や除雪作業に追われ、山林が8割を占めているため、復旧させることは重労働でした。そんななか、学芸員採用されていた同期が入庁後数か月で辞職したため、就職2年目で教育委員会に異動が決まりました。
教育委員会では、文化財だけでなく公民館も担当し、七つの祝や成人式などの行事も担当しています。文化財の仕事では、今年度はおもに獅子舞の映像保存事業計画と、村内の家文書の目録化作業を行っています。
獅子舞は後継者不足であり、担い手がいなくなったときのために記録保存用のDVD製作を計画しています。業者に参考見積もりを依頼し、一般財団法人からの助成金が確定し、平成29年度に実施する予定です。近隣の自治体から話を伺うと、同じく後継者不足の悩みにさらされているようです。埼玉県の西部地域では人口減少が進み、獅子舞などの伝統行事を残していくことが難しい状況になっています。
村内の家文書は、世代交代があり残存状況に心配があった某家を訪問し、1年間借用し調査を行っています。訪問した際は「古文書を捨ててしまった。」と言われ、家の中を探しても見つかりませんでした。後日、本家の家を訪問したところ、無事に蔵の中に収められていたため借用することができました。一時は捨ててしまったのかと不安になったため、所蔵者の家に実際に足を運ぶことの大切さがわかりました。
行政の職員として2年間、そして教育委員会で1年間働いて感じたことは、公民館講座などの仕事で広げた人脈が、文化財の保全をしていくうえで大切になっていることです。仕事以外では消防団活動に費やす時間も多いですが、すべては東秩父村の文化財のためと思い仕事しています。
どんな職業にも共通することだと思いますが、やはり人との繋がりは大切であることを実感しています。博物館でアルバイトしていたときや、大学のゼミ、現在活動している秩父市での研究会では、特にお世話になっている方がいます。これからも人との繋がりを大切にして、人口3000人弱の小さな村、東秩父でできることに挑戦していきたいと思います。

次のリレー走者は、鹿沼市教育委員会事務局の堀野周平さんです。堀野さん、よろしくお願いします。

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★ネットワーク通信担当よりお詫び★
※井上さんからは1月27日に原稿をいただいておりました。掲載が遅くなってしまい大変申し訳ございませんでした。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます…!

ネットワーク通信についてのお問合先(at)→@
gyuyuka(at)gmail.com

資料ネット会員申込・その他のお問合先(at)→@
chibasiryounet(at)gmail.com

2017年度総会・勉強会のご案内

2017年度総会・勉強会を下記の通り開催いたします。
多くの方のご参加をお待ちしております。

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千葉歴史・自然資料救済ネットワーク勉強会・2017年度総会のご案内


今回の勉強会では、長年にわたり、睦沢町立歴史民俗資料館に勤務され資料保全
に取り組まれるとともに、千葉資料救済ネットの運営にご尽力いただいている久
野一郎氏より、資料救済と地域博物館の使命についてご講演いただきます。勉強
会を通じて、地域にのこる歴史・自然資料の保全・継承について自分たちに何が
できるのか考えるきっかけができれば幸いです。
総会では、千葉県文書館の公文書廃棄問題も取り上げます。皆様お誘い合わせの
上、どうぞ奮ってご参加ください。

日時:2017年3月26日(日) 14:00~17:00(13:30開場)
場所:千葉大学人文社会科学研究科棟2階 グラジュエイト・ラウンジ

総会:2016年度活動報告・会計報告、2017年度活動計画
勉強会:講演(退職記念)睦沢町立歴史民俗資料館久野一郎氏「資料救済と地域
博物館の使命―定年退職にあたり、若い人たちへの希望―」

参加費:200円 (事前申込み不要です。非会員の参加も歓迎します。)

主催:千葉歴史・自然資料救済ネットワーク
後援:千葉歴史学会  房総史料調査会  千葉大学教育学部歴史学研究室


問い合わせ先:千葉歴史・自然資料救済ネットワーク
〒263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33
千葉大学教育学部小関研究室気付
(電話) 043-290-2550   (e-mail) chibasiryounet@gmail.com

古文書修補・研修日記95

午前中は2点の状モノ資料に取り組みました。
2点とも虫損直しのみ、の作業です。

そのうち1点は、虫損(鉄炮穴)以外に、写真左のような裂損がありました。
この裂損には、前回のブログでも紹介した国立公文書館の方に教えていただいた直し方を実践してみました。

裂損の状態は、切り口の右側が上にくるような形で切れていることがわかりました。
そのため、右側の切り口の裏面に固糊をつけ、まずは切り口を貼り合わせます。

そのままでは弱いので、裏面から、写真右のような直し紙(和紙)を用意し、切り口に貼り付けます。
国立公文書館のときは、極薄の和紙を使用しましたが、今回は裏打ち紙を使ってみました。

裂損

全体の虫損直しが終わったあと、資料全体に軽く湿りを加え、平らなボール紙に挟んで、しっかり重しをして皺伸ばしをしました。
出来上がりが下の写真となります。切り口はあまり目立たないと思います。
裂損直し

午後は、目録上「開披不能資料」と書かれた資料に取りかかりました。
今、ほとんどのスタッフさんが勉強のため、あえて「開披不能資料」に取り組んでいます。半日かかっても資料の調査書作成は終わりませんでした。非常にきびしい資料です。
詳細は次回以降、紹介したいと思います。

個人的な都合で、8日・15日の修補はお休みします。

〈研修日:2017/03/01 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記94

朝から、さくさくと虫損直しに取り組みました。

冊モノの場合は、クリーニングした時点で皺が伸びたり、天地に足し紙をすることがあるので、全体の大きさを整えるため裏打ちをすることが多いのですが、一紙モノの場合は、文字通りそれ1枚きりなので、本紙の状態がよほど悪くなければ、裏打ちしなくてもいい場合があります。

裏打ちするか、虫損直しのみとするかは、修補依頼者(資料所蔵館や個人所蔵者)の要望・方針などで決めていきますが、個人的には、可能な限り本紙の状態(現状)を活かせれば…と思っています。クリーニングをした時点である程度パリッとしてしまうので、保存されてきた状態は失われてしまうのですが。

印刀と糊の付いた小筆と、直し紙(和紙)を使って、根気よく、丁寧に穴を埋めていくと、かなりきれいに仕上がります。
前後

今回の作業で改めて重要だと思ったことの一つは、直しに使う糊の固さ(水加減)でした。
虫損直しには「固糊」を使うのですが、ちょっと水が多すぎるだけで、虫損の周辺に糊を付けたとき、ぱーっと水が広がってしまい、その水分が乾燥するときに、和紙が縮んでしまうのです。

たまたま今回、水加減を誤ったこともあったのですが、実は昨年12月と今年1月の2回、国立公文書館指導の和紙・洋紙の修補研修に参加する機会があり、そのときみた作業の一つを取り入れてみることにしました。
(※この研修は、一昨年9月の大雨で水損被害を受けた茨城県常総市の行政文書を救援する活動の一環で行われたものです。現在も続いている水損資料の修補作業に取り入れることと、将来的にも簡単な資料の繕いができるように…ということから、常総市役所の職員と、現在水損資料救援作業に携わっている臨時職員・ボランティアを対象に開かれた研修会です。)

そこでは、虫損を埋めたあと、そのうえに不織紙を乗せ、へらでこすって平らにしたあと、低温のアイロンをかけて乾燥させていました。アイロンは低温で短時間なら、紙に悪影響を与えることはないとのことでした。

白井では、虫損直しが終わると、全体に軽く湿りを与え、ボール紙にはさんで乾燥させる方法をとりますが、今回は、大きな虫損を埋めたら厚手のポリエステルを乗せ、上から竹べらで軽くこすって平らにしてみることにしました。
虫損直し
写真ではあまり違いがわかりませんが(T_T)、これから虫損の大きさによって試してみたいと思っています。

来週は、都合でお休みさせていただきます。次の研修はもう3月です!!
〈研修日:2017/02/15 後藤恵菜〉

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