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古文書修補・研修日記94

朝から、さくさくと虫損直しに取り組みました。

冊モノの場合は、クリーニングした時点で皺が伸びたり、天地に足し紙をすることがあるので、全体の大きさを整えるため裏打ちをすることが多いのですが、一紙モノの場合は、文字通りそれ1枚きりなので、本紙の状態がよほど悪くなければ、裏打ちしなくてもいい場合があります。

裏打ちするか、虫損直しのみとするかは、修補依頼者(資料所蔵館や個人所蔵者)の要望・方針などで決めていきますが、個人的には、可能な限り本紙の状態(現状)を活かせれば…と思っています。クリーニングをした時点である程度パリッとしてしまうので、保存されてきた状態は失われてしまうのですが。

印刀と糊の付いた小筆と、直し紙(和紙)を使って、根気よく、丁寧に穴を埋めていくと、かなりきれいに仕上がります。
前後

今回の作業で改めて重要だと思ったことの一つは、直しに使う糊の固さ(水加減)でした。
虫損直しには「固糊」を使うのですが、ちょっと水が多すぎるだけで、虫損の周辺に糊を付けたとき、ぱーっと水が広がってしまい、その水分が乾燥するときに、和紙が縮んでしまうのです。

たまたま今回、水加減を誤ったこともあったのですが、実は昨年12月と今年1月の2回、国立公文書館指導の和紙・洋紙の修補研修に参加する機会があり、そのときみた作業の一つを取り入れてみることにしました。
(※この研修は、一昨年9月の大雨で水損被害を受けた茨城県常総市の行政文書を救援する活動の一環で行われたものです。現在も続いている水損資料の修補作業に取り入れることと、将来的にも簡単な資料の繕いができるように…ということから、常総市役所の職員と、現在水損資料救援作業に携わっている臨時職員・ボランティアを対象に開かれた研修会です。)

そこでは、虫損を埋めたあと、そのうえに不織紙を乗せ、へらでこすって平らにしたあと、低温のアイロンをかけて乾燥させていました。アイロンは低温で短時間なら、紙に悪影響を与えることはないとのことでした。

白井では、虫損直しが終わると、全体に軽く湿りを与え、ボール紙にはさんで乾燥させる方法をとりますが、今回は、大きな虫損を埋めたら厚手のポリエステルを乗せ、上から竹べらで軽くこすって平らにしてみることにしました。
虫損直し
写真ではあまり違いがわかりませんが(T_T)、これから虫損の大きさによって試してみたいと思っています。

来週は、都合でお休みさせていただきます。次の研修はもう3月です!!
〈研修日:2017/02/15 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記93

やや長期戦になっていた「竪冊表紙のみ」、という資料の完成を目指します。

もともと使われていた「こより」をクリーニングし、両端に新しい和紙を追加して、少し長めのこよりを作りました(ブログ90号参照)。
本紙(表紙)は両面に文字があったため、虫損直しのみとし、ひたすら虫損を埋めました(現状はブログ91号参照)。

今日は、調査票をもとに「こより」が結んであった場所を確認し、目打ちで穴をあけて、「こより」を通しました(写真左↓)。片蝶結びで、上に輪がくるような形だったので、同じように結びます。
もともとあった「こより」に追加した和紙の部分は、途中からきれいな紙になるので、その継ぎ目がはっきりしますが、結び終わったら、その継ぎ目のところで裁断すれば、ほぼ元の形にできあがります(写真右↓)。
包紙こより
紙が弱くなっていたので、ぱりっとした出来上がりではありませんが、ブログ91号の穴の多さを思い出すと、まずまずの出来では…と思います。資料の状態はよくわかると思います。

今日は、新しい資料4点の調査と3点の資料のクリーニングをしました。
資料はすべて虫損直しのみ、の予定です。ちょっと試してみたいことがあるので、きちんと記録をとりながら作業を進めていこうと思います。

来週は館の都合で修補作業はお休みのため、次回は2月15日となります。

〈研修日:2017/02/01 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記92

前回までは、竪冊の表紙だったと思われる資料の、虫損直しをしました。
今日は、その資料の皺伸ばし状態が今ひとつの出来だったので、皺伸ばしをやり直しました。
そのあいだに、新しい資料に着手しました。

下の写真は本紙を包んでいた包紙です(左写真が修補前、右写真が修補後)。包紙の左側が表面になり、文字情報がありますが、ふやけており、あまり状態がよくありません。
ふやけ 縮小
白井では、ふやけた資料を扱うときに「ふのり」を使うことがあります。海藻を煮出し、粘り気のある液体を作って糊替わりにします。ポリエステルで挟みクリーニングをしたあと、ポリエステルの上から資料の両面に「ふのり」をかけて、そのあと裏面のポリエステルをはがして虫損を埋めていきます。

今回の資料も、「ふのり」を使うに相当する資料なのかもしれませんが、今回は通常使用している糊を使って、あとは「ふのり」のときと同じように作業してみました。というのは、私がいつかどこかでふやけた資料を修補することがあった場合、糊ならば持っていますが、「ふのり」は容易には手に入らないと思ったからです。

白井市郷土資料館は、長年にわたって修補活動をしてきた結果、さまざまな道具を揃えることができましたが、白井にあるモノすべてを揃えるには、一般では難しいと思うのです。身近にあるモノを使ってなんとか修補する…おそらく、そうならざるを得ないでしょう。

通常の糊を使って、クリーニングのあとすぐ裏打ちをする方法をとることにしました。ただ、ふやけた部分は非常に脆くなっているので、通常、資料の皺を伸ばしクリーニングするときは資料の裏面から始めるのですが、今回は、事前の皺伸ばし(濡らす前に、小刷毛を使って強い皺に水気を与え、事前に皺伸ばしをする)をとくに丁寧にし、資料の表(おもて)面からクリーニングをすることにしました。

資料を表にし、たっぷりの水を含ませて資料を浮かせながら皺を伸ばし、曲がっている文字の配列を直しておきます。
表面をクリーニングしたらポリエステル紙ごと裏返し、裏面のクリーニングをします。そのあと、そのままの状態でポリエステルの上から糊をかけ、静かにポリエステル紙をはがし、虫損を埋めていきます。
虫損直しが終わったら裏打ち紙を貼り、ボール紙に挟んで乾燥させる前に、もう一度表面をみて、文字の配列を確認しました。

今回の資料は、牧士を勤めた川上家らしい、馬に関する資料でした。本文はもちろんですが、包紙にもたくさんの文字情報がありました。修補したことで文字情報が格段に読みやすくなり、とても嬉しく思います。

〈研修日:2017/01/25 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記91

先日からの続きで、朝から、竪冊の表紙のみが残った資料を、ひたすら虫損直ししました(写真↓)。
表紙・縮小
左側に表紙のタイトルがあり、右半分が、裏表紙に相当します。そして、裏表紙の見返しに文字があります(透けて見えます)。

紙は虫穴が多くやや弱くなっていますが、表裏に文字があるので裏打ちはせず、虫損直しのみで対応しています。
ただし、天地の一部が欠けて弱くなっていること、そして若干本紙に歪みがあるので、四方に足し紙をして補強します。左右には喰い裂きにした和紙を使い、天地は欠損部分が隠れる程度の幅の直し紙を貼り、本紙と大幅に重なる部分はピンセットでつまみ取るようにします。

前回の午後と、今日の午後途中までかかり、ひたすらひたすら、虫損直しをしました。
皺伸ばし(軽く湿りを加えて皺を伸ばしたたあと、平らなボール紙にサンドして、しっかりおもしをします)をして、次回本紙の状態を確認したら、四方の余分な足し紙を裁断し、元の位置にこよりを結びつけて完成の予定です。

皺伸ばしのあと、本紙に使われていたこよりを作りました(前回のブログで紹介したもの)。

〈研修日:2017/01/18 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記90

2017年を迎え、白井市郷土資料館での古文書修補作業が再スタートしました。
今年もよろしくお願いいたします。

昨年に引き続き、館蔵資料の修補作業を進めています。
冊子の表紙だけが残った資料です。

見かけは竪冊ですが、表紙の裏・表に文字があり、綴じ部分が背の折り目に3箇所あったようなので、もしかすると本紙も両面に文字が書かれ、現在みられる書籍のような形態だったかもしれません。

こよりは1つしか残っていませんでしたが、とりあえず表紙から外し、広げて再利用すべくクリーニング作業をします。
写真左が、表紙からはずした状態。かなり劣化しており、解体作業中に3分割してしまいました。
それを、並びに注意し、小筆で少しずつ水分を加えながら広げていきます(写真中央→右)。
広げてみると、汚れている部分と比較的きれいな部分がわかります。表に出ていたところが汚れているのです。
この、汚れた部分を裏向きに、汚れが上にくるようにおき、ポリエステルでサンドしたら、通常通りクリーニングをします。
欠損している部分は、こよりと同じ厚みの和紙で補い、左右に10㎝ずつこより用の和紙を足し紙し、全体に裏打ち紙(こより用の和紙)を張ります。
こより・縮小
表紙は両面に文字があるので裏打ちはせず、虫損直しのみにすることになりました。
虫穴が非常に多く、午後半日かけましたが終わらず、次回へ持ち越しとなりました。

〈研修日:2017/01/11 後藤恵菜〉

Appendix

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