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古文書修補・研修日記114

今日も朝から「虫損直し」です。取りかかりから丸三日…。

「虫損直し」の注意事項を、改めて先生に教えていただきました。
○足し紙は最後にする
  最初に足し紙をしてしまうと、糊を使った部分が乾燥するときに縮むので、本紙全体に歪みが生じてしまうため。
○(足し紙以外の)大きい虫損から直す
○糊を使った部分は乾燥すると縮むので、本紙の半分にビニルシート(プラスチックシート)などを乗せ、乾燥を防ぐようにするとよい
○虫損が多いときは、時々本紙に湿りを加え、皺伸ばしをするとよい
○厚い「直し紙」を使うとき(手で裂いて使うときなど)は、湿らせたタオルなどに「直し紙」をはさんで、少し湿りを加えると裂きやすくなる

今回私が直している史料は2枚に分裂している状態なので、虫損を直した跡がつってしまうときには「皺伸ばし」をし、その間にもう1枚の直しをするように、少し変化をつけながら作業を進めています。
できるだけ印刀を使うようにしています。かなり時間がかかっていますが、なんとか印刀のコツを覚えるように、試し試し、「直し紙」の切れ方を確認しながら穴を埋めています。
このまま虫損直しがうまくいけば、裏打ち紙を貼らずに終了させてもいいかもしれません。

次回は11月29日(水)の予定です。
〈研修日:2017/11/15 後藤恵菜〉

いずれにしても、年内には仕上げたいと思っています。

ネットワーク通信22:取手市教育委員会埋蔵文化財センター 神谷彩季さん

こんにちは。千葉資料ネットの一牛です。気がつけば11月。今年も残り二月となりました。いかがお過ごしでしょうか。

さて、この「ネットワーク通信」は会員相互の交流をはかり、また、資料ネットを広く世間の方に知ってもらうために行うもので、会員が交代で簡単な文章をブログ・ML上に発信し、それをリレー形式でつなげていこうというものです。
第22回目のリレー走者は、取手市教育委員会埋蔵文化財センターの神谷彩季さんです。よろしくお願いいたします!

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ネットワーク通信22
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 取手市教育委員会埋蔵文化財センター学芸員の神谷 彩季(かみや さき)と申します。今後ともよろしくお願い申し上げます。
簡単な自己紹介ですが、私は神奈川県の出身で、平成29年に立正大学大学院文学研究科を修了しました。大学・大学院では日本近代史を専攻し、千葉県の地租改正をテーマに修士論文を執筆しました。大学院修了後、現在は取手市教育委員会埋蔵文化財センターで学芸員として勤務しております。

○現在の勤務先である取手市について
 取手市は中近世期には下総国に属しておりましたが、現在は茨城県に属しており、利根川を挟み千葉県我孫子市と隣接しています。市の名前は古くに城郭があって「砦」といったのが由来だそうです。中世期には相馬御厨の地で、相馬氏の支配がなされていました。なお、平将門伝説が市内には多くあり、将門の愛妾桔梗御前の墓とされていたりする史跡や、将門の墓と言われていた大日山古墳(実際には古墳時代の古墳ですが)があります。
近世期には水戸街道の宿場として栄え、現在も取手宿本陣の建物が残っています。また、河岸場もあり、利根川水運の要地でもありました。近世期には取手は市内全域が一家の知行ではなく、佐倉藩領、旗本領、寺社領などがあります。
明治期に入ると、取手市域は明治4年に印旛県、明治6年まで千葉県に属しましたが、明治8年には茨城県に編入されました。取手市、昭和45年に市政が施行され、昭和40年代から昭和50年代にかけ東京都心のベットタウンとして開発され、平成17年に隣接している藤代町と合併し現在に至ります。

○近況報告
 4月に就職し、現在取手宿本陣の管理などを行っています。取手宿本陣は水戸徳川家に本陣に指定され、水戸街道を通る大名や高位の武士たちに利用されました。この取手宿本陣の敷地のなかには、徳川斉昭が詠んだ歌の歌碑があります。この歌碑は斉昭が我孫子から取手に向かう途中に舟中で詠んだ歌で、江戸で石に刻まれ、取手宿本陣に運ばれたものです。また、明治期に入ると郵便取扱所に一時なったようで、明治初年の郵便窓口が現存しています。この取手宿本陣昭和62年に市指定史跡になり、平成8年に県指定文化財になりました。通常金曜日から日曜日まで一般公開を行っています。さて、11月の文化財保護強調週間中の11月3日―5日にかけ、付近にある長禅寺三世堂の特別公開に併せ、本陣でも本陣解説のガイドツアーを行ったり、特別講演を行うなどを企画しています。取手市の歴史自体もですが本陣についても勉強することがいっぱいありますが、これからも着実に学んでいきたいとおもいます。

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神谷さん、ありがとうございました!
次回のネットワーク通信は八街市郷土資料館の德永暁さんです!どうぞよろしくお願い致します!

ネットワーク通信についてのお問合先(at)→@
gyuyuka(at)gmail.com

資料ネット会員申込・その他のお問合先(at)→@
chibasiryounet(at)gmail.com

古文書修補・研修日記113

前回からちょっと間が空きました。

今日は、前々回から作業を始めた「虫損甚大」の状モノ史料の虫損直しです。
すでに1度紹介済ですが、修補前の状態は以下のような感じでした(↓)。前回、クリーニングが終わりました。
虫損大(縮小)

2枚の継紙で、現状では剥離しています。1枚ずつクリーニングをし、1枚ずつ、乾燥した状態で「虫損直し」をします。
裏打ちする予定ですが、仕上がりをきれいにするため「剥離した2枚の状を継いだあと虫損直しをして、一気に裏打ち紙を1枚で仕上げる」…というスピードが求められる作業に自信がなかったので、「1枚ずつ虫損直し→皺伸ばし→接合→裏打ち」…という手順をとることにしました。

1枚目(右側の状)からレーヨン紙をはずし、地の部分がかなり欠損しているので、「足し紙」をしました(2枚目にも「足し紙」をします)。それから「虫損直し」を始めましたが、一日やってまだ終わりません。

下の写真は、状の2枚目はまだレーヨン紙をつけたままで、2枚を繋ぐとこんな感じ…という出来上がりイメージです。1枚目は今日一日虫損直しをした後なので、比較的良くみえるかもしれませんが、まだまだ虫損がたくさんあります。
クリーニング後
「虫損直し」なので、印刀を使って作業したほうが楽なのですが、大きい虫損や細長い虫損には、まだ印刀がうまく使いこなせないので、手でちぎって作業しています。この状は紙の厚みが0.11ミリあり、通常よりやや厚めです。横山先生のお話では、こういう厚い紙のときこそ、印刀が威力を発揮するのだそうです(小さい穴を埋めるのに、厚い直し紙はちぎるのが大変なので)。
大きい虫損直しが終わったら、鉄炮穴には印刀を使いたいと思います。
なお、本紙が厚いせいか、虫損直しをした跡がいつも以上に「ひきつれ」たような感じになってしまいます。皺伸ばしをしっかりしなければいけないようです。

次回は11月15日(水)の予定です。

〈研修日:2017/11/08 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記112

再チャレンジの皺伸ばし。
自画自賛ですが、粘った甲斐あって、きれいに仕上がったと思います(写真↓)。
皺
結局、何が要因かはっきりはしません(虫損の状態や本紙の厚さは一つとして同じものがないので)。
けれど、私なりにつかんだコツは、皺伸ばしにある程度の湿りは必要。そして、薄いポリエステルで挟み(最近白井では、裏打ちを乾燥させるときに厚めのポリエステルを使用しています)、しっかりと重しを乗せること。
条件が変わったらまた迷ってしまいそうですが、そのときにはまたこのブログを読み直したいと思います(=∀=)

このあと、先週から取りかかっている虫損史料のクリーニング作業に入りました。
折り目が虫損のため重なったまま団子状態になっているものは、できるだけ剥がして別紙に保存しておきます。
強い折り目には事前に小筆で湿りを加えて、できるだけ伸ばします。

それから、今回から自分なりの試みとして、虫損の穴の周辺にできる黒い跡(おそらく虫の糞)を、クリーニングの段階で意識的に崩して取り除く、ということをやってみることにしました。
…というのも、本当に今更ですが、今日最初に仕上げた数枚の虫損直し史料。皺はきれいに伸びたし、穴埋めもまずまずの出来だったのですが、虫損の場所によって、虫損の輪郭が黒い跡によって、きれいにわかってしまうのです。
この跡は、クリーニングの段階で取り除くしかない、と思いました。
適度に水を加えたり乾かしたりしながら、慎重に目打ちとピンセットを使って黒い跡を削る作業を地味に続けました。
時間のかかる作業ですが、今回の史料はとくに虫損が酷いので、少しでもきれいに仕上がれば…と思っています。

次は乾燥した状態で虫損直しをし、接合作業に入ります。

次回はちょっと間が開いて、11月8日(水)の予定です。
〈研修日:2017/10/11 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記111

前回こつこつと穴埋めした虫損史料の皺は、どうもきれいに伸びていませんでした。
随分時間をかけてしまっていますが、最後のチャレンジ。もう一度皺伸ばしをすることにしました。
虫損が多いと、どうしてもいろいろな箇所で紙の厚みが違ってきます(自分の技量の低さは勿論大きな要因ですが…)。直した部分がつってしまうのはやむを得ないとしても、湿り具合と重しの加減で、もう少し伸びないかな…と。
皺伸ばしは、たっぷり水気を含ませる必要はないとのことですが、今回は本紙をポリエステルで挟み、もう少し多めの湿りを全体に加えてみました。次回は完成にしたいと思っています。

皺伸ばしをしているあいだに、新しい史料に入りました。
久しぶりに、がっつり虫損のある史料です(写真↓)。
虫損大(縮小)
史料調査先でわりとよくみかける状態です。かなりの確立で史料目録の備考欄に「後半は虫損不開」などと書かれるようなタイプの史料ですが、この史料自体はすでに開披されていました。けれど、写真からもなんとなくわかるように、継紙が剥離し、あちこちに長短の虫損があり、欠損がみられます。
午後から新しい史料の調査に入ったのですが、焦らず、クリーニング前の準備(小筆を使って、強い折れ皺を伸ばす作業)に時間をかけました。
大判の和紙なので、接合すると60㎝くらいの長さになります。破損も多いので裏打ちをしようと思います。

通常の手順としては、大きくは2通りです。
 ①剥離した史料を1枚ずつクリーニング→1枚ずつ虫損直し・1枚ずつ裏打ち→乾燥したら接合
 ②      同                →接合してから虫損直し・裏打ち
です。②のほうが、裏打ち紙を1枚通しで貼るので全体が統一されて仕上がりがきれいです。けれど、大きな本紙に裏打ち紙を貼り付けるにはかなり高度な技術が必要だと思っています。

裏打ちをする場合の虫損直しは、全体をしっかり濡らしてレーヨン紙を剥がし、本紙全体に薄糊をかけながら行います(虫損直しのみ、の場合は乾燥した状態でレーヨン紙を剥がす)。

今回は、ちょっとイレギュラー的に
 ③剥離した史料を1枚ずつクリーニング→乾燥した状態で1枚ずつ虫損直し→皺伸ばし→2枚を接合して裏打ち
という、1段階手間をかけた作業でやってみようかと思っています。

継ぎ目印もあるので、その部分の裏打ち紙は最終的に剥がすことになります。

時間がかかりそうですが、このタイプの史料は現場でよくみかけるものなので、後々のためにしっかり取り組みたいと思います。
次回の修補は10月11日(水)の予定です。

〈研修日:2017/10/04 後藤恵菜〉

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