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古文書修補・研修日記101

白井市役所建て替え工事に伴い、GW明けから、古文書修補作業室が一時引っ越しすることになりました。
これから約1年間、仮の作業スペース(写真左↓)で作業を続けます。丸々1年間作業をお休みにしてしまうことにより技術が衰えてしまうことを危惧した結果の、苦肉の策です。
今まで、一人1台の長机を占領して作業してきましたが、しばらくは4台の長机をみんなで利用していきます。使う道具も別室で保管し、必要に応じて持ち運びして使います。

今日は私を含め、午前中の参加者が4名でした(横山先生を除く)。机は4台あっても、共有の道具を置くスペースが必要だったり、明かりの位置があったり…試行錯誤が続きます。今まで使っていた道具がどこにしまってあるのか、探し出すのも一苦労です。

それでも、個々に工夫しながら、譲り合いながら、相談しながら、作業を続けて行きます。
全員が同時に作業するのは難しいので、日程も調整することになると思いますが、参加できるときはより一層集中して、作業に取り組みたいと思います。
仮作業場所

今日は、前回下半分が欠損した資料の虫損直しをしたのですが、出来上がりが今ひとつ(皺の伸び具合など)だったので、全体に裏打ちをすることにしました。
現在乾燥中ですが、虫損直しだけよりも、皺はきれいに伸び、出来上がりもいいように思います。
乾燥が終わったら、裁断して終了の予定です。

その間に、新しい資料に取り組みました(新しい環境にバタバタして、最初の現状写真を取り忘れてしまいました…)。

新しい資料は、1枚の状モノ両面に文字が書かれています。どちらも下書きか控えのようですが、文面がかなり長文で書かれているなかに、虫損もそれなりにあります。
クリーニングをして乾燥させていますが、両面に文字があるので、裏打ちはせず、両面から少しずつ虫損を埋めていく作業になると思います。

次回は5月31日の予定です。

〈研修日:2017/05/17 後藤恵菜〉

ネットワーク通信20

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古文書修補・研修日記100

前回から取り組んでいる、下半分が欠損した資料の続きです。

2枚に分離していたものをそれぞれ「ふのり」をかけて乾燥させた後、乾いた状態でポリエステルをはずし、固糊で2枚を接合させました。下部の裂損部分が薄くなっており、紙自体が少々弱くなっています。

本紙を5寸5分の半紙と推測し、欠損している部分に足し紙をします。
本紙(0.06ミリ)と同じ厚みの和紙を用意し、残っている本紙の縦の長さ+足し紙=5寸5分(+α)になるようにします。

本紙に、透明なシートを乗せ、その上にやや大きめの足し紙を乗せ、本紙の裂損部分を水筆でなぞります(写真上)。
その跡に沿って、手で足し紙をちぎります(写真下)
足し紙
本紙の裂損部分は弱いので、足し紙の「繊維が出ている部分」に固糊をつけ、本紙と接合させます。
そのあと、その他の虫損直しをします。

出来上がり次第では、このまま皺伸ばしをして、虫損直しのみで終了にしようかと思ったのですが、やはり紙の弱さが気になり、次回、裏打ち紙を貼ることにしました。

※白井市役所建て替え工事の関係で修補作業室が一時引っ越しとなり、作業スペースが1年間狭くなるので、今年は作業日も不定期になるかもしれませんが、よろしくお願いします。

〈研修日:2017/04/26 後藤恵菜〉

古文書修補・研修日記99

長らく手こずっていた「虫損不開」資料の仕上げです。
面積が広い資料は虫損が多く、思いのほか紙自体が弱っていました。「ふのり」をかけましたが、その後薄糊をかけてポリエステルをはがし虫損直しをする段階で、さらにぽろぽろと繊維がポリエステルについてきてしまいました。
正直なところ、破損を拡大してしまいました。

前回も反省として記しましたが、本当に状態が酷く修補の技術が未熟な場合は無理をせず、「ふのり」をかけて固定した状態で保存しておくだけでも有用なのではないか…と思いました。

下の写真の上段2枚は、比較的大きく残ってた資料。下段右の5点は、ある程度文字情報が残っているものを裏打ちした資料。下段左はほとんど文字情報がなかったけれど、数㎝の面積を残している資料をまとめて保存した状態です。
最終的に、本体と断片が確実に接合できるものはありませんでしたが、このまま保管することになりました。
0.jpg

そして、新たな資料にとりかかりました。
前回の反省を踏まえ、さらに慎重な調査と開披作業を心がけました。

前回の資料に比べると開披は容易でした。下の写真からわかるように、下部が欠損しています。
このような資料を修補するとき、出来上がり寸法をどうするか、最初に検討します。

この資料が一紙だったら、横の寸法から縦の寸法を推測することがある程度可能です。それには、明治10年に刊行された『諸国紙名録』を参考にします。この紙名録には、国内で作られた和紙の縦横寸法が記されています。
たとえば、「美濃半紙」の場合は、縦7寸5分、横1尺2分、という具合です。

今回の資料は、継紙だったので、横の寸法の予想がつかなかったのですが、横山先生の助言を受けながら資料をよくみると、右端が刃物のようなもので斜めに切断されていることがわかりました。先生の予想では、「これは(半紙を継いだ)巻紙をつかっているのではないか」とのことでした。継ぎ目の上に文字が書かれていることからも、この和紙が最初から巻紙であったことが想像できます。

おそらく半紙を継いだ巻紙だろう…という推測。そして、表題が「記」という1文字であることから、常識的な範囲で、この「記」は縦位置の中心かやや上方に書かれるだろう…という推測。
さらに、関東地方で流通している主要な紙の一つが下野産であり、そのなかに「西之内」と呼ばれる和紙があって、帳面や証書などに使われ、縦1尺1寸・横1尺6寸であることから、このくらいのサイズの和紙を半紙(縦半分に切ったもの)として使用したのではないか。

これらの推測をもとに、縦を本紙半分の5寸5分にしよう、という結論に達しました。下の写真に黒枠を付けてみました。
1_20170420094106756.jpg
念のためこの資料も「ふのり」をかけ、下部を足して裏打ちする予定です。

今日は2枚に分かれている状態でそれぞれに「ふのり」をかけ、乾燥させるところまで作業しました。
次回は2枚を接合したあと、下部に足し紙をして縦5寸5分の大きさを復元し、少し大きめに裏打ち紙を付ける作業をします。

〈研修日:2017/04/19 後藤恵菜〉

【おしらせ】被災資料の展示案内

白井市郷土資料館では、4月1日~30日まで、市民学芸スタッフが修補した被災資料の展示を行っています。

これは、2011年の東日本大震災で被災した宮城県石巻市の被災史料5点を、宮城歴史資料保全ネットワークの依頼でお預かりし修補したものです。
お預かりした当初は4点だと思っていたものが、修補作業の段階で実は5点あったことがわかったほど、圧着して状態の悪いものでした。

お近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄りください。(後藤)

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