端裏書のある状モノの処理の方法です。端裏書のある表部分は、ちょうど文字がないところでした。まず裏面から虫損直しをしますが、端裏書に虫損がかかっている部分は表側から虫損直しをします。本紙全体の虫損直しが終わったら、通常通り裏面に「裏打ち紙」を貼りますが、端裏書にかかる「裏打ち紙」はむしり取ります。本紙の端の切断部分が曲がっていたので足し紙をしたいのですが、端裏書が端ぎりぎりまで使って書かれていたので...
約70㎝という長さの史料は、なんとか完成しました。ひどい汚れもなく、状態の良い史料でしたが、保存用の封筒にしまうには、ある程度の大きさに折りたたむ必要があります。見た目には折れ皺もとれ、きれいに仕上がったように見えますが、よく見ると、たたんであった時の折れ皺が、紙にはしっかりと刻まれています。封筒に入る最大限の大きさで、折れ皺(折れ線)を最小限にし、折りたたんで収納します。調査表には、おおよそでは...
状態は良好。鉄炮穴が所々にあり、端裏書がある状モノです。紙の状態は良いので裏打ちはせず、虫損直しのみの作業とします。ちょうど、端裏書にあたる部分に虫穴があります。このような場合は、表面から虫損を埋めます。直し紙の厚さと本紙の厚さを揃え、和紙の繊維を使うようにして補うと、表から直してもあまり目立ちません。固糊は、小さくて浅めのタッパなどを利用すると便利です。冬場はとくに糊が乾燥しないように、使わない...
3枚の継ぎ紙でできている状モノ資料の修補をしています。継ぎ目が剥離している状態だったので、1枚ずつクリーニングをしました。紙がしっかりしており、鉄炮穴状態の虫損がほとんどだったため、1枚ずつ虫損直しをした後、継ぎ目を繋いでいく作業となります。1枚ずつ虫損直しをし、その都度皺伸ばしをし、その間に次の本紙の虫損直しをする…それを繰り返して1枚ずつ完成させたあと、接合作業に入ります。糊代部分が2ミリくら...
新しい史料(継ぎ目のある状モノ)に入りました。年末から合間をぬってクリーニングなどをしていたので、今日は虫損直しをして、継ぎ目を継いで、乾燥させたら完成…という段取りです(前回のブログでは状4枚の継ぎ紙と書きましたが、5枚の誤りです)。紙の状態が良く、大きな欠損もないので、「虫損直し」のみの作業にしようと思います。継ぎ目に「継ぎ目印」がたっぷり押してあるのも「虫損直し」にする理由の一つです。裏打ち...
新年を迎えました。今年も研修に励みたいと思います。昨年から年越ししてしまった、虫損の酷い史料(写真左↓)。余分な裏打ち紙を裁断し、今日で完成です(写真右↓)。2枚の状をつないだ史料は、最終的に70㎝強×33㎝ほどの大きさになりました。紙はしっかりしていましたが、虫損が多かったので裏打ち紙を貼りました。1枚目は天地(上下)に足し紙をしてから裏打ち、2枚目は地(下)のみ足し紙をしたのですが、繋いでみると...
今年最後の修補です。手こずっていた虫損史料の完成を目指していたのですが(タイミング的には出来たのですが)、朝から「和本作り」をすることになり、修補史料の完成は年越しとなりました。年明けに、市民を対象にした「和本作り」講座があります。修補スタッフの方が助手としてお手伝いされるので、この講座の前には、修補スタッフ全員がおさらいのため、和本を1冊作る機会をいただけます。私にもその機会をいただいたので、一...
四苦八苦した虫損史料ですが、最終判断として、「裏打ち」をすることにしました。裏打ち紙を貼るにあたって、失敗しました(T_T)裏打ちをする前に、継ぎ紙の2枚目、下の欠損部分に足し紙をし、本紙2枚を繋ぎ、乾燥させました。そのあと、裏打ちをするため本紙全体に湿りを与えるます。ポリエステルで本紙をサンドし、刷毛で水気を加えたのですが、これが大失敗…。ポリエステル紙の性質は、水で濡らしても紙は伸びないこと。そ...
虫損の多い資料に当たったとはいえ、ちょっと時間がかかりすぎていることを、大いに反省しています。今朝から、私と同じように虫損の多い資料にとりかかった方は、端から黙々と虫損を埋める作業を続け、夕方にはほぼメドがついていました…。その資料にも裏に継ぎ目印があり、また和紙が厚めでしっかりしていたので、裏打ちはせず虫損直しのみで仕上げるとのことです。私が手がけてきた資料は、下が一部欠損しているため足し紙が必...
今日も朝から「虫損直し」です。取りかかりから丸三日…。「虫損直し」の注意事項を、改めて先生に教えていただきました。○足し紙は最後にする 最初に足し紙をしてしまうと、糊を使った部分が乾燥するときに縮むので、本紙全体に歪みが生じてしまうため。○(足し紙以外の)大きい虫損から直す○糊を使った部分は乾燥すると縮むので、本紙の半分にビニルシート(プラスチックシート)などを乗せ、乾燥を防ぐようにするとよい○虫損...