千葉資料救済ネット・運営委員の後藤です。
去る12月15日(月)、木更津市郷土博物館金のすずにおいて、
君津地方公立博物館協議会・千葉歴史自然資料救済ネット共催による勉強会が開かれました。

当日は、28名の参加があり、
①君博協の活動と「災害時の資料保全の相互応援に関する覚書」:布施慶子氏(君博協・久留里城址資料館)
②千葉歴史・自然資料救済ネットワークの活動について:小関悠一郞氏(千葉資料ネット・千葉大学)
両氏による活動報告を受けたあと、参加者による意見交換会を行いました。

千葉資料救済ネットおよびその活動についてはブログ等で随時紹介していますので、ここでは、今回共催した君津地方公立博物館協議会(君博協)と、布施氏の報告について簡単にご紹介します。
君博協は、君津地方(木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市)に所在する公立博物館が、相互の協力関係増進と博物館職員の資質向上を図り、博物館の振興と学術・文化の発展に寄与するために平成3年に設立されました。理事会・研修会・合同企画展・協同研究等の実施のほか、日常的に協力関係にあります。平成26年3月に災害時協力について覚書を交わしました(以上の説明は、君博協提供のレジュメによりました)。
今回の布施報告では、君博協が結んだ「災害時の資料保全の相互応援に関する覚書」が締結されるに至る経緯、覚書の特徴、課題などが紹介されました。
覚書が結ばれた最大の目的は、覚書に明記されているとおり、
「…災害等が発生して君博協加盟館が独自では十分な資料保全を実施できない場合に協力して相互応援し、資料の避難と応急措置を円滑に遂行するため…」
であること。そして、
・協力が業務として保障される
・館外の資料も館の判断によっては対象とできる
・自主応援できる
ということを明文化した、という点が特筆すべき点です。
課題としては、応急措置に必要な施設(収蔵スペース)をどう確保するか、という点がありますが、そもそも平時においても博物館の収蔵スペースは不足気味であり、覚書には
「…資料の避難、応急措置に必要な施設の提供…」は「効果的な推進に向けた応援に努めるものとする」という表現にとどめています。
布施・小関両氏の報告を受け、参加者を交えた意見交換会では、
・行政が資料ネットのような外部援助を受け入れる体制作りが必要であること
・市町村合併に伴う行政資料の廃棄があり得ること
・非常時に備えた資料リストの分散化が必要であること
・資料ネット等で収集した資料情報をどのように共有していったらいいか
・被災資料の救済活動はリピートされることが必要であり、その環境作りも大事であること
・消失の恐れがある資料について、どこに相談したらいいか、わかりにくい現状があること
等の意見が出されました。
また、参加者からのアンケートでは
・資料の救済が必要になった時はもちろん、平時の状態でのこのような交流は継続して行っていくことが大事
・意見交換のみでなく、現地での調査等も協力していけたらと思う
・南海トラフ地震がいつ起きるかわからない状況で、職務上現用する文書だけではなく市民に対する情報提供をする前提としての文書の保管、被災した場合のリカバリーの重要性が再認識できた
という声をいただきました。
今回参加してくださった方のなかには、今年行政に採用された方の参加が数名いらっしゃいました。新人の方が、行政・歴史資料の保全に関心を持って勉強会に参加してくださったことは、大変心強いことだと思いました。
千葉県も広いため、たくさんの方・様々な立場の方が一堂に会するのはなかなか難しい。けれど、このような勉強会や情報発信ツールを利用して、少しでもお互いを知る機会を増やしていきたいと思います。
最後になりましたが、今回の勉強会開催にあたりましては、君博協加盟館の館長をはじめ、職員の皆様には大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。
これからも様々な場面で相互交流を深めていけたら嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
文責:後藤恵菜
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