7月19日(日)に、第6回勉強会「古文書修補を学ぶ③」を開催いたしました。
虫損のある古文書を、横山謙次先生に修補していただくことと、様々な「こより」の結び方を参加者が体験する、という2本立てで行いました。資料ネット会員、千葉大学文学部史学科・教育学部・放送大学の学生さんをはじめ、ブログをみて参加を申し込んでくださった方など、運営委員を含め20名が参加しました。

今回修補した資料は、君津市久留里の田丸家にご協力をいただきました。昨年資料ネットが行った茂原の資料整理が縁で、現在、千葉大学教育学部の小関研究室が資料整理をおこなっているお宅の資料です(資料整理の経緯や成果は、後日小関さん〈=当ネットの運営委員〉にお願いしたいと思います)。
横山先生には2点の、虫損のある状モノを修補していただきました。
資料1

資料2

上段の4カットが資料1、下段の4カットが資料2。4カットのなかの上段が修補前の状態で左側が本文、右側が端裏部分になり、その下の画像が、修補後の状態です。いずれも書状で、端裏に作成者と宛所が記載されている…つまり、和紙の両面に文字が書かれた資料です。
クリーニング→(乾燥)→虫損直し・裏打ち→(乾燥)→裁断
という手順で行ったため、「乾燥」のあいだに、参加者で「こより」の結び方を体験しました。
横山先生が事前に「こよりキッド」を用意してくださり、先生のお手本をみたあと、自分たちも同じことをやってみるのですが、まず「こより」を作ることから四苦八苦。先生が「失敗の見本(お子様ランチの旗のようになってしまう「こより」)」を示してくだり、笑いが起こるなか、楽しい時間を過ごしました。

参加者の方から以下のような感想をいただきましたので、ご紹介します。
・実際に古文書を見たこと、修補を最初から完成まで見られたことは勉強になった。素晴らしかった。
・こよりが今も残っているのかと思うと、和紙はすごいと改めて思った。
・修補であんなに水を使うとは思わなかったし、(水を)拭いたタオルからあんなに汚れた水が出たのには驚いた。また、水だけで汚れが落とせる点にも驚いた。
・科学的な材料も状況に応じて用いているということを初めて知った(註:色落ちを止めるスプレーを使うことがある、ということなど)。
・古文書の修補によって、100年後にも1000年後にも、後生の人に生きた証を伝えることができると考えるとロマンを感じた。
・2度目の参加だったが、毎回視点が変わり、新たな発見がある。継続して受講することが大切だと思った。
・修補の映像をHPで公開したり、DVDのレンタルができないだろうか?
・百聞は一見にしかず、を実感した。
・少しでも古文書の修補を体験してみたいと思った。
・襖や屏風の下張り文書の剥がしかたや整理についての勉強会もあればと思う。
参加者の方からいただいたご意見・ご感想を、少しでも活動に活かしていければと思います。
私(後藤)も、白井で修補の研修をさせていただいていますが、今回、久しぶりにプロ(横山先生)の実演をじっくり拝見したことで、自分の作業を見直すよい機会となりました。昼休みには、いっしょに食事をした参加者の方と簡単な自己紹介をしながら、短い時間でしたが交流する時間をもつこともできました。
学生さんには、いろいろな行事に参加して、勉強でもライフワークとしてでも、関心がもてる「何か」を探してもらえたらと思います。
最後になりましたが、今回ご参加くださったみなさん、ご指導くださった横山先生、資料提供をご快諾くださった田丸様、ありがとうございました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
〈文責:千葉歴史・自然資料救済ネットワーク運営委員 後藤恵菜〉
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