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古文書修補・研修日記43

日記の更新が遅くなりました…。

今回は、修補スタッフの方が作業していた「両面に文字のある資料」の「虫損直し」作業を紹介します。
破損が多い資料ですが、両面に文字があるため、「裏打ち」はできません。
紙が比較的しっかりしているので、「虫損直し」をすることになった資料です。

破損・虫損が多いときは、レーヨン紙を片面ずつはずし、そこから少しずつ穴を埋めていくと、本紙がバラバラになるのを防ぐことができます。

この資料は、下部がぎざぎざになっているので、足し紙が必要ですが、両面に半分ずつ文字があるので、片面だけに足し紙をすると一部の文字が隠れることになってしまいます。そこで、横山先生が以下のような要領で足し紙のお手本を示してくださいました(見本の作り方、ブログへのレイアウトが下手なので、うまく説明できませんがご了承ください)。

下の下手な「見本」で簡単に説明します。

●左上が今回直す資料の見本。表面は右から半分ほど文字が書いてあります。下が欠損しているので足し紙が必要です。裏面も右から半分ほど文字が書かれています。表と裏の文字はほとんど重なりません。
●右上の写真は、どのような足し紙を用意したか、という見本です。本紙の横幅と同じ長さ(本紙と同じ厚み)の和紙を用意し、文字の途切れるところに切れ目を入れます。
●足し紙と本紙を合体させたものが左下の写真です。足し紙の右側は裏側に回せば、表の文字が隠れません。
●表面の、足し紙をつける部分(白紙の部分)に糊を付け足し紙を付けたあと、上の余分な足し紙を取り除きます。裏面も同様です。

1 (3)
下の写真が、実際に虫損直しと足し紙をした状態の資料です。
1 (4)

この後、糊を乾燥させてから、一度さっと水気を加え、押しをすることで、皺を伸ばすことができます。
それらの作業が終わったあと、四方の余分な足し紙・直し紙を裁断すれば、作業は完了となります。

今回の資料は、私にはとても状態の悪い資料に見えたのですが、裏打ちせずに虫損直しだけで修補していく。両面に文字があるのでやむを得ないのですが、とても難しい作業だと思いました。とくに「足し紙をどのように貼るのか」ということが、最大の関心事でした。先生のお手本はとても勉強になりました。

修補する資料は1点毎状態が異なるので、資料ごとに対応を考えながら最良の方法を施していく努力をします。とにかく経験を積むこと、いろいろな作業を見て勉強させてもらうこと。毎日が勉強です。

〈研修日:2015/08/19 後藤恵菜〉
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