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古文書修補・研修日記46

今日は、先日の継紙の「虫損直し」から始めます。「裏打ち」はせず、「虫損直し」のみを行います。

この資料は2枚の状を継いだものです。
「虫損直し」のみなので、まずクリーニングしてレーヨン紙で挟み乾燥させます(乾燥するとき、汚れがレーヨン紙に吸引される)。
完全に乾燥したあと、レーヨン紙を外し、虫損を直していきます。この場合、本紙と同じ厚さの紙で穴を埋めていきます。虫損ではないけれど、本紙が薄くなっている箇所には、「裏打ち紙」で厚さを補います。2枚程度の継紙の場合は、必ずしも天地左右に「足し紙」をする必要はありません。本紙本来の状態(形)を残すようにします。
虫損を直したら、2枚の状を継ぎ、ポリエステル紙・平らな中性紙に挟んで、軽く重しをしておきます。

ただ、前回集中力が欠落していたため、ちょっと失敗がありました。
前回クリーニングをしたとき、レーヨン紙と本紙の接着が甘かったようで、2枚の継紙のうち1枚に、縮緬のような皺が寄ってしまいました。
皺1
クリーニングした資料にレーヨン紙を貼るとき、十分な水分でしっかり本紙とレーヨン紙を密着させないと、段ボール紙に挟んで乾燥させているときに、レーヨン紙と本紙がすぐに剥離してしまい、本紙が動いて皺になってしまうことがあるそうです。

今回は、2枚の虫損を直したあと、2枚の紙をつなげてから、ポリエステル紙でサンドして水分を加え、もう一度段ボール紙でサンドして皺を伸ばす作業を追加することになりました。
レーヨン紙を貼る作業で失敗してしまいましたが、湿りを加えて再度「押し」をすることで皺をとることができました。反省しつつ、この失敗のおかげで、皺の取り方を習得することができました。

また、この資料にはクリップの錆がついていました。
横山先生にご相談し、「文字にかかっていない部分の錆は念のため削り取る」措置をとることにしました。
錆び跡1
写真左の2行目、「…上置候…」の左横に錆の跡が付いているので、印刀を使って削り取り(写真左)、そこは虫損直しの要領で穴埋めをしました。

皺がとれた継紙の、余分な直し紙をカットし、この資料の修補は終了となりました。

新規の資料は、虫損が酷い継紙(状2枚を継いだモノ)です。
「丁寧に作業してください」という助言をしっかり頭に入れ、作業していきたいと思います。
次回の研修日記で紹介します。

〈研修日:2015/09/15 後藤恵菜〉

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