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古文書修補・研修日記50

白井での修補活動が再開しました。

前回のブログに書きましたが、最後の最後で裏打ち紙を貼り損ねましたので、今朝一番の仕事は、横山先生にその出来をみていただき、作業のやり直し有無を判断していたくということでした。

幸いにも、足し紙をした部分が、ほとんど端っこに近かったため「このままでもいいでしょう」というご判断。
「でも、より良くしようとするなら、継ぎ目の部分はできるだけ少なくしたほうが、より目立たなくなります」ということで、
小刷毛で裏打ち紙の継ぎ目に軽い湿りを加え、余分な重なり部分をむしり取る、という一作業を、先生がお手本としてみせてくださいました。
「失敗したときに、どうやって直すか。直したか。失敗したときの経験も実は大事です」と先生。

(前回一緒にお手伝いしてくださった千手観音チームの先輩スタッフは、あれから1ヶ月、作業の出来を気にしてくださっっていたとのこと。申し訳ありませんでした。優しい心遣いにただただ感謝です。
でも、この失敗のおかげで、修補に向かう姿勢を新たにすることができました。ありがとうございました。)

ただ、今日土曜日に参加したもう一つの理由は、前回仕上げた資料にやり直しがあったからです。

白井の修補活動には、直接指導をしてくださる横山先生のほかに、近世文書が読める専門員の野中さんがいらしており、
虫穴や欠損箇所が多い資料の、字の配列が合っているか、文字の破片を埋めた箇所が合っているか、などを最終チェックしてくださっています。スタッフ同士も、虫損の埋め忘れがないかお互いにチェックしますが、セイフティーネットが二重にも三重にも張り巡らされているのです。

その最終チェックで、5箇所も要確認が出てしまいました(すみません)。

たとえば
1-1_convert_20151129104451.jpg
作業中に、小さな紙片があり、その時点では該当箇所が特定できない、という判断をして「剥離」扱いとして、別の中性紙に貼り付けておいたもの(↑写真左)が、実は継ぎ目印らしい、というご指摘を受けました。
断片の時点で、一応検討はしたのですが、断片の周辺に黒い汚れが縁取りのようについていたので、確信がもてず、「剥離」扱いのままにしていたものでした。
でも、断片の縁についていた汚れを落として、継ぎ目印に合わせてみると、まさに当てはまることがわかりました(↑写真右)。

また、
2-1_convert_20151129104529.jpg
上記写真左の「請」と思われる字ですが、虫損で抜け落ち定しまった断片を調整しながら入れたつもりでしたが、「請」には見えない出来になっていました。断片をもう一度剥がし、同じ資料の中に出てくる「請」の字をまねながら、断片を置く位置を調整してみました(上記写真右)。

その他、
3-1_convert_20151129104547.jpg
「迄」という字の一部がめくれていることを指摘され、軽い湿り気を加えて開いてみると、ちゃんとした「迄」という字になりました。

ここのところ虫損の酷い資料を修補していますが、虫損が酷いと、クリーニングしている最中や虫損直しをしている最中だけでは、和紙が濡れいる状態なので、どうしてもめくれや断片の微妙なズレがわかりにくいときがあります。
そのようなときは、裏打ちをして乾燥させたあと(きれいな状態になったあと)、再度見直しをして、その時点でズレなどをみつけたら、直せばいいとのこと。軽い湿りを加えれば、糊はきれいに剥がせます。そのあと、もう一度軽い湿りを加えて押しをすれば、資料はまたきれいに伸びます。
そのためにも、「何度も見直す」癖を、しっかり身につけたいと思います。

白井で作業されているスタッフの皆さんは、本当に真摯に「断片」とも向かい合っています。
今回のブログは失敗談ばかりで実に情けない内容なのですが、
このような失敗を自分で反省するきっかけにもなり、また白井で行われている作業の精度の高さを知っていただくには良い機会かと、前向きに考えたいと思います。

〈研修日:2015/11/28 後藤恵菜〉
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