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古文書修補・研修日記51

師走に突入しました。
前回が臨時で土曜日に参加させてもらったため、まだ3日しか経っていないのにもう研修日が巡ってきて、なお一層時間の流れが速すぎる気がします…。

今日から新しい資料に入りました。
継ぎ目が剥離した継紙(2枚継ぎ)資料ですが、今までのものに比べると格段に虫損が少ないので、クリーニングと虫損直しのみでよさそうです。久しぶりに、なんとか手に負えそうな気がします(油断は禁物!!)。

本紙に押印や朱書などがある場合は、作業に入る前の事前調査で色落ちの有無をチェックします。
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湿りを加えた綿棒を該当箇所に当ててみて、綿棒に色が移らなければOK(↑)。もし色が移るようなら、その部分に、絵画で使う色止めのスプレーを吹きつけておきます。

それから、今回特記すべきことは、状モノの原状がどうなっていたか(一番最初はどのように折りたたまれていたか)、ということを調査票に記録しておくこと、です。

たとえば、今回調査することになった状モノは、封筒から取り出したときは写真左(↓)のように二つに分かれ、どちらかというと少しざっくりと折りたたまれていました。
けれど、よく見てみると、本来はもう少し細く折りたたまれていることがわかり、二つ合わせてたたみ直してみると写真右(↓)のように細めになりました。
1 (2)
この最初に付けられた折り跡を調査票に記入します。折りたたみの跡は、山折りの場合は破線「―・―・―・―」で、谷折りの場合は点線「・・・・・・・・」で記す約束です。ざっくりですが虫穴(鉄砲穴)の位置や大きな虫損跡、継ぎ目の位置なども記入します。
1 (3)

博物館などでの、紙資料の保管方法は、各館の事情によって様々だと思います。

白井では、折りたたまず一紙で封筒に収まる場合はその形を優先していますが(調査票があるので、元の形を再現することができるという建前なので)、状況に応じて、大きめに折りたたんでおくことも多々あります。その場合も、新しい折り目を作らないように、調査票の記録をもとに、半分折りか三等分にしたくらいで収まるような折り位置を探して折るようにしています。

今日は2点の新規資料を預かり、調査・クリーニングまで終えました。
今月は残り2回なので、きりよく新年を迎えられるか…。

それから、手の空いているときに、スタッフ皆さんで分担して、1月に資料館で開催される「和本作り講座」で使う材料の下準備をしました。表紙になる千代紙の裏に和紙を貼る(裏打ちする)作業です。
これまでは横山先生がほとんどお一人で必要な材料の準備をされていましたが、その手順も少しずつみんなで覚えていこう、ということです。実際にやってみないと、裏方作業の大変さはわかりません。

〈研修日:2015/12/02 後藤恵菜〉
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