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古文書修補・研修日記55

今日から、新しい資料に取りかかりました。
朱と墨で書き分けられた絵図で、2紙を継ぎ、さらに貼り紙が付いたものです。
絵図
およそ縦40㎝×横60㎝の大きさです。

現状では、資料の継ぎ目はすべて剥がれており、絵図の右面、左面と貼り紙の3つに分かれていました。
糊の跡と虫損の穴の位置から、貼り紙は左側の絵図の左側面に貼ってあったものと思われます。

まず、現状の調査書を書きます。
資料に墨以外の色(朱)が使われているので、水で濡らしたときに色落ちしないか、湿らせた綿棒を使って確認します。
朱色は色落ちすることが多いのですが、今回の資料もそうでした。
そのため、朱が使われた部分に、油絵などで色落ち・滲みを止めるために使っているスプレーを使い、クリーニングする前に色止め(滲み止め)をします。
今回の場合、道路と追記事項に朱が使われており、広範囲に及びます。そのため、該当部分のみスプレーをかけるように注意しました。朱の部分以外は不要の紙で覆い隠すなどして、スプレーをかけます(写真↓)。
色止め
スプレーが乾燥したあと、色落ちしないことを確認してからクリーニングに入ります。
今回、先生から注意されたのは、「朱色は落ちやすい」ので、念には念を入れ、クリーニングもあまり「こすらない」ようにすること。

通常のクリーニングは、2枚のポリエステル紙に資料を挟んで、水洗いします。
ポリエステル紙は水を通し(=水を吸収しない)やすく、資料に吸着しないこと、紙自体が伸縮しないことが特徴ですが、
今回のように、こすったときに色落ちする可能性がある場合は、ポリエステル紙と資料(本紙)が吸着しないことによる資料の移動=こすれ、を避けるため、ポリエステル紙・レーヨン紙・資料・レーヨン紙・ポリエステル紙、というサンドの形をとることを勧められました。
レーヨン紙は水分を吸収する=汚れも吸収する、という性質があるので、資料をこすらずに「叩き洗い」することで、色落ちを防ぐことができるとのことです。

通常の作業よりも慎重に(できるだけこすらないように)資料を伸ばすことが求められました。
先生がお手本を示してくださいましたが、刷毛の扱いも微妙な力加減、水も通常よりやや少なめに、とにかく「こすらない」ことに注意が払われました。

今日は、都合で午前中のみ作業に参加させてもらったため、クリーニング作業は絵図面の右部分と貼り紙のみでした。

次回は、左面のクリーニングをし、乾燥させたあと、
・右面と左面の接合
・虫損直し
・一紙での裏打ち
という手順で仕上げていく予定です。
貼り紙はそのままの大きさを維持して虫損直し・裏打ちし、本紙の該当箇所に接合させます。
「こすらない」ことを肝に銘じ、作業に取り組みたいと思います。

〈研修日2016/01/20 後藤恵菜〉
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