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古文書修補・研修日記61

日記の更新がちょっと遅れました…。

今日(3月9日)は、予定通り冊モノの天地に足す「足し紙」を用意したあと、虫損直しをして「裏打ち」する作業をしました。
絶対、という訳ではありませんが、
冊モノの修補をする場合、天地に「足し紙」をしたほうが無難です。
多くの資料が江戸時代に作られた資料です。紙の裁断はもちろん「手」で行います。
機械で均等に裁断するわけではありませんから、どうしてもちょっとしたズレ、が生じることがあります。

クリーニングをして和紙が伸びると、微妙なズレが目立ったりします。

一紙モノなら、多少直角がずれていてもあまり気になりませんが、
十数枚を綴じた冊モノの場合、天地に凸凹が生じて目立つことがあります。
冊モノなので、「トントン」する機会もあります。どうしても「地」の部分は傷みやすくなります。
ですから、保管を考えると、裁断がきれいに見えても、「裏打ち」をして天地に「足し紙」をしたほうがいいともいえます。
(最終的には所蔵者あるいは所蔵機関の判断になりますが…)

そして、冊モノの場合、「裏打ち」をすることが多いのですが、
そのとき、どこまで「虫損直し」をするべきか、ちょっと迷います。

「裏打ち」をせず、「虫損直し」のみをする場合は、小さな虫穴でも必ず直しますが、
「裏打ち」をする場合は、

・文字に虫損がある場合は必ず埋める
・文字の近くに虫損がある場合も埋めたほうがよい
・紙面に広がるように、横に広がる虫損は埋める

というのが一応きまりですが、
私たちが通常「鉄砲穴」と呼んでいる虫損、
いわゆる、冊モノの(たとえば)一頁目から最後の頁まで、まっすぐまん丸い虫穴が一直線に開いているようなものは、
文字に虫損がかかっていない場合は、「虫損直しをしなくてもよい」ということになっています。
このような、「まん丸」い一直線の穴をすべて埋めると、
製本したときにその部分に厚みが出てしまうためです。

白紙の部分に開いた小さな穴は、「裏打ち紙」を貼れば補強できるので、
必ずしも埋める必要はありません。
それでも、いざ作業をすると、どこまで直すべきか迷います。
修補に「絶対」ということはありません。
いつも、どの状態がベストか考えながら、資料に合わせて作業手順を考える必要があります。

〈研修日2016/03/09 後藤恵菜〉

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