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古文書修補・研修日記63

今日は、都合により前回クリーニングした絵図2枚の虫損直しから始めました(冊モノの製本は後日に…)。
クリーニングしたあとは、汚れを吸着させるために本紙をレーヨン紙でサンドし、さらにポリエステル紙・厚紙でサンドしてから、ベニヤ板・おもしを乗せて乾燥させます。レーヨン紙が本紙の水分を吸収して乾燥するとき、一緒に汚れも吸着してくれます。
乾燥時にポリエステル紙を使うことで、汚れを吸着するけれど、他の紙とも接着しやすいレーヨン紙を保護する役目を果たします(レーヨン紙は吸着性がありますが、本紙に悪影響を与える心配はありません。ちゃんと乾燥させ、丁寧に扱えばきれいにはがせます)。
このとき、本紙とレーヨン紙をしっかり圧着させないと、乾燥時点で紙のあいだにわずかな隙間が生じ、本紙に皺がよってしまうので注意が必要です。本紙とレーヨン紙を圧着させるときに、刷毛にしっかりと水分を与えることが重要です。

ただ、クリーニングのあとは、虫損直しの場合は虫損を直したあと、軽い湿りを加えて本紙の伸ばし作業をしますし、裏打ちの場合も、全面に糊を塗るときに水気が与えられるので、少々の皺は心配する必要はありません。
むしろ、虫損直しのあとの皺伸ばし、裏打ち作業のあとの乾燥時に注意が必要です。

しっかり乾燥させた本紙からレーヨン紙を剥がし、印刀と小刷毛・固糊を使って、本紙の裏面から虫穴を埋めていきます。
水分が少ない固糊を使う理由は、使う糊によって虫穴周辺に水気が広がり、本紙を余計に伸ばしてしまうことを避けるためです。

固糊を使っても、どうしても直した部分は火傷の跡のように、ちょっと攣れたようになってしまいます。
そのため、虫損直しが終わったら、刷毛で全面に軽く湿りを加え、ポリエステル紙・新しい厚紙にサンドして、軽く重しをして乾燥させます。
1~2時間ほどで乾燥するので、最後に周囲にはみ出た直し紙を裁断し、作業は終了となります。

次回は、冊モノの製本か、虫損の酷い状モノ作業を行う予定です。

〈研修日:2016/03/23 後藤恵菜〉
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