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古文書修補・研修日記64

今日は横山先生がお休みでした。

午前中は冊モノの製本に取り組んだのですが、
最後の仕上げについて、横山先生にご相談したかったので、作業は途中まで。
次回のブログで、冊モノの製本についてまとめたいと思います。

午後は、虫損がひどい状モノのクリーニングと裏打ち作業を行うことにしました。
「虫損直しのみ」の場合は、クリーニングをしたあと、しっかり乾燥させる必要がありますが、
「裏打ち」をする場合は、クリーニングのあと、乾燥を省略して虫損直しに入っても構いません。
とくに、本紙がふやけたり毛羽だった状態の悪いときは、乾燥作業を省略してすぐに虫損直しに入ります。

今回受け取った資料は、写真左のように、大きな欠損が多数ありました。
このような状態の資料も、クリーニング・乾燥のあと、レーヨン紙を剥がすときにまた状態を悪化させる可能性がないともいえません。

折りたたんであったものを広げる時点で、破片がなくなりそうな危ない箇所は、写真右のように、レーヨン紙を小さく切って仮押さえの処置をします。
236虫損 (1) 236虫損 (2)
この資料は2枚の紙を継いでありますが、開披した時点で継ぎ目が剥離していました。
1枚ずつクリーニングしたあと、天地に「足し紙」をし、欠損箇所と虫損に和紙を補い、裏打ち紙を貼りました。

午後はひたすら虫損直し。
大きな欠損箇所には、やや大きめの和紙を貼って、余分な重なりをむしり取るか、和紙の繊維を重ねながら細かく欠損を補うか…、欠損の状態や、直し紙の和紙をちぎったときの状態に応じてやり方をかえて作業しましたが、久しぶりに長時間下を向いて和紙をちぎり続ける、根気のいる作業でした。

次回は、まず冊モノを完成させること。
そして、この状モノを継いで、余分な裏打ち紙を裁断して完成させることを目指します。

今日で、2015年度が終了です。
4月からも、引き続き研修生として古文書修補作業に参加させていただけることになりました。
3年もやっていて、まだ研修生か…と思われるかもしれませんが、
10の資料があったら、10通りの修補方法があります。常に、資料にあった修補方法を考えていかなければいけません。
横山先生からのご指導を受けられるうちは、郷土資料館が許可してくださるあいだは、
できるだけ修補に携わっていたいと思います。

いつもこの拙いブログを読んでいただき、ありがとうございます。
白井で教えていただいている貴重な技術を、なかなか還元するまでに至りませんが、
このブログを続けることで、
少しでも修補についての理解が広がれば…と思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。

〈研修日:2016/03/30 後藤恵菜〉
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