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古文書修補・研修日記69

朝一番の仕事は、本紙に使われている朱色が色落ちしてしまうため、
「色止め」
という作業をすることです。
色止め
色止めが必要な部分以外を反古紙などで隠し(写真左↑)、色止めしたい該当部分に、水彩画やデッサンで使われている、色を定着させるスプレーを噴霧します。
乾燥したら、綿棒を湿らせ、該当部分に押しつけるようにし、色落ちがしないことを確認します。

「色止め」をすると、クリーニングしたとき、該当部分だけ水をはじきます(写真右↑)。
ただし、クリーニングのあと、レーヨン紙でサンドしますが、本紙とレーヨン紙の圧着は弱くなるようです。

そのあと、本紙用のレーヨン紙(1丁につき2枚)、裏打ち紙を裁断します。
今回の資料は全10丁です。

続いて、本紙の天地左右の「足し紙」を用意します。
今回の資料は全部で10丁あるので、天地合計20本・左右合計20本の「足し紙」が必要です。
「喰い裂(くいさき)」という方法で和紙を裁断します。
喰い裂
天地(左右)の長さより少し長めの和紙を用意します。片側はカッターなどでまっすぐに切った状態、片側は和紙の繊維が出た状態のものを作ります。繊維が出た方を本紙との接合に使うことで、境目が目立たなくなります。
今回のものは、天地が約36㎝、足し紙の幅を1.5㎝にしたので、37×3の足し紙を用意しました。
まず、濡らした小筆で足し紙の真ん中(1.5㎝のあたり)に線を引きます(写真左↑)。
その次に、その場所にカケベラで跡を付けます(写真中↑)。
最後に、足し紙をV字に開きながら、裂いていきます(写真右↑。ヒグチさんにご協力いただきました)。

これらの準備をしてから、クリーニング作業に入りました。
準備に時間がかかりましたが、今日は10枚中7枚のクリーニングを済ませました。

次回は残り3枚のクリーニング、「こより」のクリーニングと裏打ち、本紙の裏打ち…という作業を行います。

〈研修日:2016/05/18 後藤恵菜〉
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