午前中に、横冊残り4枚分の裏打ち作業を済ませました。
午後からは、新しい資料(継紙の状モノ)2点をお預かりし、調査をしました。
今日は、
和紙の縦・横の見分け方を記録しておきたいと思います。
紙には繊維の向きによって縦と横があります
機械漉きでも、原理は同じです。
手漉き和紙は、細く割った竹などを横軸に、それを糸でつないだ簾(す)のうえで、水に溶いた紙の原料(楮などの繊維)を薄くのばして作ります。
そのとき、竹軸の位置を横向きにし、それを縦方向(上下)に動かして、原料を広げていきます。簾を横に動かすと、原料が隙間から落ちてしまうので、竹軸に対して直角に動かすのです。
その和紙を乾燥させると写真のような跡がつきます(写真↓)

白い矢印は、糸の跡、赤い矢印は竹軸の跡です(矢印はわかりやすい跡につけていますが、実際には和紙全面に縦横の跡がついています。当然ながら、竹の跡のほうが細かく入っています)。
和紙は、通常、縦紙(繊維が縦方向)を使いますが、裁断の方法によって、横紙になることもあります。それが「半紙」などです。
半紙は、本来の一枚物の和紙を半分に切って使うので、繊維の向きが変わるのです。
機械漉きの紙でも縦・横があります。
ロール状で売っているものは、紙の端を上にしたとき(ロールが下にくる)、縦紙になっています。
裏打ち紙にも縦横があるので、本来であれば、本紙にあわせて縦横の向きを合わせたほうがいいそうです。とくに巻物や冊子などの場合、本紙と裏打ち紙の縦横が違うと、繊維の方向が異なるので紙全体が固くなり、扱いにくくなります。
ただ、一紙ものの状の場合は、あまり影響はないそうです。
虫損直しをするときも、小さい穴ならほとんど影響はありませんが、大きな穴を直すときは、本紙の紙の向きと直し紙の繊維の向きを合わせた方が、折ったり巻いたりしたとき、抵抗が少ないのです。これはなかなか難しいのですが…。逆に、紙を丈夫にしたいときは、わざと繊維の向きが違う紙を当てることもあります。
紙一枚にも、使い方に奥深さがあります。
〈研修日:2016/06/29 後藤恵菜〉
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