朝から、ひたすら虫損直しをしました。
手元にある資料は3点。そのうち1点は、余分な裏打ち紙を裁断し、最終的なサイズ(完成版のサイズ)を調査票に記入したら終了なので、とにかく虫損直しを進めました。
虫損直しをしたあと、糊を乾かし、「皺伸ばし」をし、はみ出した直し紙を裁断する。乾燥の時間を考慮しながら、作業の段取りをしましたが、2点目の虫損が思いのほか多く、細かく、思うように進みませんでした。
虫損直しが多いと、どうしても、直した部分がつれてしまいます。
2点目の資料の「皺伸ばし」は1度で決まらず、再度、湿りを加えて伸ばすことにしたので、結局、次回の最初の仕事は、直し紙の裁断と調査票の修正からとなります。それが終わったら、石巻の資料のお手伝いに入ります。
他のスタッフの方は、ほとんどの方が石巻の資料に取りかかりました。
前回ご紹介したとおり、和紙の状態が良くないので、クリーニングしたあと乾燥させずに、すぐ虫損直しと裏打ちをしてしまいます。
すべて版本なのですが、どうしても表紙に近い部分と裏表紙に近い部分(=外側に近い部分)は破損が目立ちます。水を被ったためだと思いますが、和紙が見かけ以上に弱っているらしく、皆さん非情に苦労して作業を進めています。
たとえば、今日は下の写真のような資料もクリーニングしていました。

この状態まで本紙を広げるのは、それだけでまず、とても大変な作業だったと思います。
通常通り資料はポリエステル紙でサンドしながらクリーニングしますが、ポリエステルの置き方をちょっと誤ると、直すのが非情に難しいとのことでした。ポリエステル紙に紙が一緒に張り付いてきてしまい、墨も崩れてしまうことがあるそうです。
まだ自分で体験していなので、弱い紙を取り扱う難しさについて実感がわきませんが、10年近く修補を続けてきたスタッフの方々が苦労されている姿をみながら、水損した資料(とくに冊モノ)の難しさを想像してみます。
無理せず、たとえ1日1枚しかできなくても、丁寧でちゃんとした仕事を心がけたいと思います。
来週はお休みをいただいているので、次回は9月14日(水)の予定です。
今日やった虫損直しの皺伸ばしがうまくいっていれば、午前中の早い時間には、石巻の資料に取りかかれるかと思います。
〈研修日:2016/08/31 後藤恵菜〉
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