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古文書修補・研修日記82

朝一番で継続中だった資料の余白を裁断し、仕事にけりをつけました。
今日から、石巻の資料に参加です。

解体した冊モノ(版本)を、一枚ずつ分担して「クリーニング・虫損直し・裏打ち」まで一人の人が一貫して行います。どのような状態の資料が当たるか、えり好みはできません。

最初の資料はこんな感じの資料でした(↓)。
DSC02889.jpg
開披は可能で、下部中央に破損があります。また、ノドの部分が劣化して切れていました。

最終的に版本の形になるので、天・地に「足し紙」をすること(補強と、全体の大きさを統一するため)と、弱くなっているノドの部分にも補強のため「足し紙」をします。

見かけは「酷い状態」というほどではありません。ただ、実際にクリーニングするために水を使うと、紙が非常に弱っていることがわかりました。とても柔らかく、一度もつれると「もちゃっ」となって、元の状態に戻すのが難しくなります。
できるだけ新しい(=しっかりとした)ポリエステルを使い、本紙がポリエステルのあいだで動かないように気をつけながらクリーニングをしました。水洗いのみですが、非常に汚れていることがわかります(↓)。
DSC02893.jpg
これは、1枚の資料から出た汚れです。

これまで修補してきた資料も多少の汚れがありますが、石巻の資料は汚れた水をたっぷり吸い込んでおり、見かけより紙が弱っています。そのため、少し濃いめの糊を用意して、クリーニングのあと、すぐに虫損直し・裏打ちをします。状態にもよりますが、半日で1~2枚くらいしかできません。また、糊の消耗も早いので、1週間に1回くらいのペースで糊を作っています。

来月末から、白井は文化祭期間に入るため、修補作業が1ヶ月ほどお休みになります。それまでに、できるだけ作業を進めていかなければいけませんが、とにかく脆い紙を扱っているので、あせらずに、丁寧な仕事を心がけたいと思います。
※来週は、資料館の都合で修補作業はお休みです。

〈研修日:2016/09/14 後藤恵菜〉



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