Entries

古文書修補・研修日記92

前回までは、竪冊の表紙だったと思われる資料の、虫損直しをしました。
今日は、その資料の皺伸ばし状態が今ひとつの出来だったので、皺伸ばしをやり直しました。
そのあいだに、新しい資料に着手しました。

下の写真は本紙を包んでいた包紙です(左写真が修補前、右写真が修補後)。包紙の左側が表面になり、文字情報がありますが、ふやけており、あまり状態がよくありません。
ふやけ 縮小
白井では、ふやけた資料を扱うときに「ふのり」を使うことがあります。海藻を煮出し、粘り気のある液体を作って糊替わりにします。ポリエステルで挟みクリーニングをしたあと、ポリエステルの上から資料の両面に「ふのり」をかけて、そのあと裏面のポリエステルをはがして虫損を埋めていきます。

今回の資料も、「ふのり」を使うに相当する資料なのかもしれませんが、今回は通常使用している糊を使って、あとは「ふのり」のときと同じように作業してみました。というのは、私がいつかどこかでふやけた資料を修補することがあった場合、糊ならば持っていますが、「ふのり」は容易には手に入らないと思ったからです。

白井市郷土資料館は、長年にわたって修補活動をしてきた結果、さまざまな道具を揃えることができましたが、白井にあるモノすべてを揃えるには、一般では難しいと思うのです。身近にあるモノを使ってなんとか修補する…おそらく、そうならざるを得ないでしょう。

通常の糊を使って、クリーニングのあとすぐ裏打ちをする方法をとることにしました。ただ、ふやけた部分は非常に脆くなっているので、通常、資料の皺を伸ばしクリーニングするときは資料の裏面から始めるのですが、今回は、事前の皺伸ばし(濡らす前に、小刷毛を使って強い皺に水気を与え、事前に皺伸ばしをする)をとくに丁寧にし、資料の表(おもて)面からクリーニングをすることにしました。

資料を表にし、たっぷりの水を含ませて資料を浮かせながら皺を伸ばし、曲がっている文字の配列を直しておきます。
表面をクリーニングしたらポリエステル紙ごと裏返し、裏面のクリーニングをします。そのあと、そのままの状態でポリエステルの上から糊をかけ、静かにポリエステル紙をはがし、虫損を埋めていきます。
虫損直しが終わったら裏打ち紙を貼り、ボール紙に挟んで乾燥させる前に、もう一度表面をみて、文字の配列を確認しました。

今回の資料は、牧士を勤めた川上家らしい、馬に関する資料でした。本文はもちろんですが、包紙にもたくさんの文字情報がありました。修補したことで文字情報が格段に読みやすくなり、とても嬉しく思います。

〈研修日:2017/01/25 後藤恵菜〉
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://chibasiryounet.blog.fc2.com/tb.php/203-e6629afb

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

千葉資料救済ネット

Author:千葉資料救済ネット
本ネットは、災害などによって
歴史・文化・自然資料への悪影
響が県内で起こった時に、資料
救済活動をスムースに推進する
ために結成されました。
歴史・文化・自然資料に興味・
関心を持つ人々の連携を推進す
ることによって、有効な救済活
動を実現することを目的として
います。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR