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古文書修補・研修日記103

両面に文字がある状モノ資料です。
裏打ち紙を貼るわけにはいかないので、両面をひっくり返しながら、虫損直しをしました。
直しが終わったら、軽い湿りを加えて皺伸ばしをしますが、1度目はうまくいきませんでした。虫損が大きかった部分に皺が寄ってしまい、それが周辺にも伝わって、きれいに伸びません。

先生の指導を受けながら、再度湿りを加え、皺伸ばしをします。
大事なポイントは、虫損の大きな場所=皺が強く出る場所に、最初に少しずつ湿りを加えること
そのあと、全体に湿りがいくように、状を持ち上げて紙自体を軽くゆするようにして、均等に水分を広げて行きます。
そのような作業を、少しずつ、何度か繰り返したあと、平らな段ボール紙にサンドして乾燥させます。おもしをしっかり乗せます。
やり直しの結果、ほぼ皺はきれに伸びました(写真↓)。
両面虫損1
虫損直しがほぼ直ると、ささいな(?)皺も気になります。

続いて、小口(冊モノの、閉じと反対のほう。輪のほう)が欠損している冊モノの修補です。
調査記録をとり、綴じていたこよりを解いたあと、1枚ずつクリーニングしていきます。
輪になっていた状を開くと、中心部分が欠損しています。竪の長さを測ると約8寸。この長さから標準的な横の長さが1尺1寸であることが推測されます。
マス目のあるカッターボード(かつては渋紙を使っていましたが、最近はこのカッターボードを利用しています)を基準に、ポリエステル紙の上に、まず片側の状をおき、横幅が1尺1寸になるように測って、対になる片割れを置きます(写真↓)。
センター欠
乾燥したら、中央の欠損部分を埋める足し紙を用意し、虫損直しをしたあと、裏打ち紙を貼ります。

冊モノは、本紙の直しだけではなく、冊を綴じていた「こより」もクリーニングして再利用します。裁断・製本と作業が多いので、久しぶりに緊張します。

今日は本紙4枚のクリーニングを終えました。
今回の資料は2枚ずつの竪冊2冊が合冊されているので、「こより」が3本あり、うまく綴ることができるか心配です。

次回の作業は6月21日の予定です。
〈研修日:2017/06/07 後藤恵菜〉
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