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古文書修補・研修日記116

四苦八苦した虫損史料ですが、最終判断として、「裏打ち」をすることにしました。
裏打ち紙を貼るにあたって、失敗しました(T_T)

裏打ちをする前に、継ぎ紙の2枚目、下の欠損部分に足し紙をし、本紙2枚を繋ぎ、乾燥させました。
そのあと、裏打ちをするため本紙全体に湿りを与えるます。ポリエステルで本紙をサンドし、刷毛で水気を加えたのですが、これが大失敗…。

ポリエステル紙の性質は、水で濡らしても紙は伸びないこと。その反対に、和紙は伸びます。
これがクリーニングなら、手順としては間違っていないのですが、虫損直しした後の和紙の場合、虫損直しした部分が多少なりとも厚くなっているので、水の吸水=紙の伸び方に差が生じます。伸びないポリエステルと、伸びようとする和紙と、和紙のなかでも伸び方に時間差がある部分…ポリエステルの間で和紙が波打ってしまいました。
ポリエステルを剥がしてやり直そうとしても、継ぎ目の部分が剥がれかけたり、虫損直しした部分が剥がれかけたり、本紙そもそもが歪んでしまったり…。

結局、見るに見かねた先生が、見事なお手前で、本紙の皺を直し、継ぎ目を直し、なんとか形にしてくださいました。

乾燥した状態の本紙に裏打ちする場合は、虫損直しの皺伸ばしと同じ要領で水分を入れる必要があることがわかりました。
つまり、和紙の上から直接、まずは虫損直し(もしくは継ぎ目)から刷毛で軽い湿りを加える。時々本紙を持ち上げ、本紙全体に湿りが伝わるように、軽くゆするようにしながら水気を広げる。その作業を少しずつ繰り返しながら、最終的に全体に水分が届くようにする手順が必要なのでした。

大変遠回りしましたが、先生のおかげでなんとか本紙の本体は維持でき、私自身、大いに勉強させていただきました。
写真左が裏打ちした状態の史料です。右は、裏に継ぎ目印があるため、その部分だけ裏打ち紙を剥がした状態です。
縮小

次回、余分な裏打ち紙を裁断して終了です。なんとか年内にけりをつけることができそうです。

〈研修日:2017/12/06 後藤恵菜〉
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