約70㎝という長さの史料は、なんとか完成しました。

ひどい汚れもなく、状態の良い史料でしたが、保存用の封筒にしまうには、ある程度の大きさに折りたたむ必要があります。
見た目には折れ皺もとれ、きれいに仕上がったように見えますが、よく見ると、たたんであった時の折れ皺が、紙にはしっかりと刻まれています。
封筒に入る最大限の大きさで、折れ皺(折れ線)を最小限にし、折りたたんで収納します。
調査表には、おおよそではありますが、修補直前の現状記録(たたんでいた状態)を記しているので、現状に近い形での復帰は可納になっています。
次にとりかかった史料は、約60㎝ほどの史料です。
2枚の継ぎ紙で、修正した貼り紙がついています。
継ぎ目の糊がしっかりしているので、とりあえず、継ぎ目ははがさずにクリーニングをし、裏打ち作業をしました。

貼り紙には少し大きめの裏打ちをしました。
次回、出来上がりの状態をみて、貼り紙の大きさ(裁断の基準)を検討したいと思います。
島状(周辺が虫食いで切れて、本紙から独立していまっている状態)になっている断片をどのように補うか…難しい課題です。
折りたたんだ状態から、フィルムを逆回しするように形跡をたどっていけば、理屈では断片の場所を特定することはできるはずなのですが、一度水で濡らしてしまった本紙と断片を、ピンセットを使ってパズルをはめるように決めていく作業は、思っている以上に大変な作業です。
ある程度古文書を読むことができれば、本文の流れから文意を推測することはできるので、自信のない断片を無理に欠損箇所に当てはめる必要はないのではないか…とも思います。
もちろん、墨の痕跡がある断片は、別置の方法で残しておくことが必要ですが…。
次回は、裏打ちの仕上がりを確認して、剥がれていた貼り紙をどのように処理するか検討したいと思います。
ベタで糊付けしていたとは思えないので、おそらく天の部分だけ点糊かな…と思いますが、その位置を特定できるか…。
常に、史料1点ごとに対処法が異なります。
次回は3月14日(水)の予定です。
〈研修日:2018/02/28 後藤恵菜〉
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