先日行われた第1回勉強会について、笹川知美さん(千葉市郷土博物館)が参加記をよせてくださいました。
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7月7日に行われて千葉県歴史・自然資料救済ネットワークの第1回勉強会に参加させて頂きました。
第1部の久野一郎氏の講演は、非常に実践的な講義でした。今回の勉強会のために、真水・泥水・塩水に浸かった練習用の資料を作ってきてくださり、参加者がそれらをどうのようにして救済するかの実技でした。水がたっぷりしみこんだ資料は大変扱いにくく、水を抜く作業のため資料のページを繰るのに、非常に慎重になりました。まだ、目の前にある水損資料が1点でしたので、慣れない作業を時間をかけて行うことができましたが、もし実際の現場であったら、膨大の資料を迅速に処理することができるかどうか、非常に不安を感じました。また、「水に浸かった」と一口にいっても、真水・泥水・塩水など水の種類は様々であり、さらに水損した資料の素材も多様であろう、ということから、その救出方法は現場の状況を素早く判断することの必要性を強く感じるとともに、一刻も早く資料を乾燥させ、カビの発生を防ぐ重要性を認識しました。
実践的な実習のあとは、これまでに久野氏が携わった救出現場の写真を見ながら、実際の状況の説明を受けました。長南町で芝原人形の製作をしていた千葉家の火災現場からの資料救済の写真は、水損被害を受けるのは、何も津波や豪雨だけではなく、消化による水損もあるのでは、という考えが浮かび、思いのほか危険は身近にあるとこに思いいたりました。また、8年前のいわし博物館の事故後の写真には衝撃をうけました。実際事故のことは知っていましたが、その詳しい状況は知ることはなかったので、初めて見た実際の写真には驚くばかりでした。曲がった棚や穴のあいた壁など、改めて被害の大きさを感じました。
第2部は横山謙次氏と髙花宏行氏による「宮城県石巻市石神社の被災史料の修補について」というタイトルで講義していただきました。白井市による古文書の修補作業については、市が発行した報告書などを拝見しており、活動自体は知っていましたが、活動経緯や実際の活動を伺うことができました。被災史料の修補作業についても、実際に作業をされた横山氏が、受入から作業の終了までを写真をふまえて説明いただきました。作業途中の写真を見ながら、被災史料の状態や修補のポイントなど、たいへん分かりやすいお話でした。また、実際作業に使っているふのり・レーヨン紙・ポリエステル・ボール紙を手にとってみることもできました。修補作業をしている写真をみていますと「なるほど」などと思うのですが、いざ自分が作業をするためにはやはり経験が必要だろうと思っています。横山氏や髙花氏によると、白井の古文書修補作業は毎週水・土曜に行っているとのこと。横山氏が見学はいつでも、とおっしゃってくださっておりましたので、お邪魔にならないときにぜひとも伺いたいとおもってます。
1部・2部の講義を通じて、先生方は「不完全な救出でもした方かよい」ということを繰り返し主張されておりました。災害の現場は様々であり、救出を必要とする資料も多種であることが考えられますので、その現場で自分で考え、最善の方法を導きだすことの重要性を強く感じました。
今回の勉強会は、漠然と考えていた資料救出に関して、その考え方や方法の一端を知ることができ、たいへん有意義な講座でした。このような機会をつくってくださった事務局の皆様に感謝するとともに、今後もこのような勉強会には積極的に参加したいと改めて感じました。いろいろありがとうございました。
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