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第1回勉強会での発表を終えて

7月7日の第1回勉強会でご発表頂いた白井市の髙花 宏行さんから、ご報告の要旨をまとめていただきました。

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第1回勉強会での発表を終えて


 昨年3月に発生した震災で被害を受けた古文書について、当館が行っている「古文書修補」での協力ができないか、という考えが出てきたのは平成23年6月頃であった。宮城歴史資料保全ネットワークに電子メールで連絡すると、先方の担当者からすぐに電話があり、「現状では応急措置が中心だが、所蔵者の方が修補を希望される史料が出てきたら改めて相談します。」という話を受けて電話を切った。当館では、修補依頼があるのはしばらく先のことだと考えていたが、翌7月に修補を希望される資料が出てきたとの連絡が入り、平成23年12月から修補作業に取り組むことができた。震災から未だあまり日が経っていないということもあってか、新聞各紙も当館の活動を紹介してくれた。

石神社所蔵文書の修補に取り組んで感じたことは、使用されている紙の種類が地域や所蔵者ごとに異なるので、多くの経験を積んでいないと対処が難しい場合があるということである。この点、横山氏は多様な種類の紙を扱った経験があり、送られてきた文書を見て紙の種類と修補実施上の留意点を瞬時に判断され、滞りなく作業を進めることができた。

このように、当館の古文書修補活動の特徴は、宮内庁で長年古文書の修補に携わってこられた横山氏が作業リーダーとして中心的な役割を担い、修補技能者を育成する講座の修了者と一緒に作業を進めているところにある。横山氏のように古文書修補を業務として経験された人材は少なく、それ故に博物館や資料館で古文書修補に取り組んでいる機関が少ない現状のなか、当館では地元に住む貴重な人材の協力を得て古文書修補活動を実施できていることに感謝している。

石神社文書の修補は、当館が直接宮城歴史資料保全ネットワークに申し出て実現に至った。それも、最初の申し出は電話ではなく電子メールで行った。電子メールでの連絡は、電話とは異なり「先方はどう応対してくれるだろうか」、といった心配がいらず、一方的に送信できることがメリットである。

今回、発表の機会をいただいたことは、当館の取り組みを知ってもらえる非常に良い機会になったことはもちろんであるが、それ以上の成果は発表会後の懇親会において様々な分野で活躍されている方と情報交換ができたことにある。つまり、千葉県でも震災前に資料救済ネットワークが既に立ちあがっていて、どこにどのような協力ができる人材がいるかという情報を事前に把握できていれば、石神社文書修補の件も、もう少しスムーズに進んだ可能性がある。千葉資料救済ネットの今後の活動に期待したいし、協力もしたい。
(髙花 宏行)
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