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台風15号被害 現地報告(君津)①

 9月14日(土)、台風15号で被害を受けた千葉県君津市の被害状況確認調査をしてきましたので報告いたします。
 参加者は、久留里城址資料館の布施さんの案内で、ネット運営委員小関・立野・後藤、君津在住で当ネット会員の稲葉さんの5名です。

 今回訪れた場所: 某所/久留里神社(浦田)/久留里城址資料館/大日堂(怒田)/大原神社(平山)/藤林青年館/亀山神社(滝原)/黄和田畑青年館/柳城青年館/神野寺

 地域の概況ですが、まず、建物については、若干地域によって差はありますが、どの地区においても、かなりの数の家の屋根が破損していました。特に、古い瓦屋根やトタン屋根のものが目立ち、多くはブルーシートに覆われていましたが、まだ、それもできていない家がありました。また、もともと茅葺き屋根で、それを銅板で覆っていたものの、銅板が大きくめくれ、茅が剥き出しとなっていた母屋もありました。一地区軒並みということはありませんが、全体の被害件数は相当数に達しているものと思われます。なお、ごく一部ですが、倉庫などで全壊しているものもありました。
 道路は、主な道は通ることが可能でしたが、一部通行止めの道もあり、小さな道の場合はまだ通行ができないものも多いと思います。通ることが可能な道でも、おそらく台風直後は大量の土砂や折れ枝、あるいは倒れた樹木の幹で通行が不能か困難だったと思わせる痕跡がありました。多くの樹木が幹の途中で折れていたり、根こそぎ倒れていたりしていました。特に、杉の木がひどいようです。鹿野山付近では、一帯の杉がほとんど折れるか、同じ方向に傾いている林がありました。なお、信号が点滅していない交叉点もあり、停電が復旧していない地区もあります。久留里のセブンイレブンでは、おにぎり・弁当類やパンなどがほとんどありませんでした。

 本日の当初の目的は、某所の資料を救出することでしたが、所有者のご判断で延期となりました。場合によっては、要請があるかもしれませんので、その時には可能ならば対応できる人は現地へ行けるようできればと思います。
 次に久留里神社ですが、拝殿の部分に杉の巨木が倒れかかり、屋根がつぶれひどく破損し、それを業者の人が伐採したりして、除去する作業をしているところでした。
 また、同じように拝殿にやはり杉の大木が倒れかかっていたのが亀山神社です。ただ、こちらは、屋根がつぶれず、その上に杉がのっかった状態でした。大日堂と大原神社の建物は無事でした。ただ、大原神社の場合、かなりきわどいところで、境内に社殿建築用に植えられていた多数の杉の木のかなりの数が折れていました

 次に青年館に行ったのは、区有文書や仏像などが保存されている所です。このうち黄和田畑青年館には、かつて房総史料調査会が整理した黄和田畑区有文書が保存されています。館に近づくと、屋根にブルーシートがかけられていてひょっとしたら被災と思われましたが、布施さんが建物の中の保存場所をご存じで、きわどいところで、雨漏りなどの被害は免れているようでした。柳城青年館は、屋根がすっかりなくなりブルーシートがかけられていて、中をのぞくことができました。どうやら、区有文書などは事前に近接する自治会館に移されていたようで、中に残されてはいませんでした。

 時間的には戻りますが、久留里城址資料館について述べます。ご存じのように、同館へ伺うには、城下の駐車場から坂道を歩いて登っていくのですが、両脇の樹木が多数倒れ、道をふさぎ、通行不能ではありませんが、非常に困難な状態です。また、途中斜面が樹木が倒れたことにより崩壊しているよう箇所もありました。天守閣へ行く道には、ひび割れも生じていました。館自体は被害がなかったのですが、下から館へ到達する電線が寸断され、館は停電中です。そのため、当面休館するということです。ただ、このことが知られていないようで、今日も何組か観光客が来ていました。館は停電中なのですが、職員は様々な片付けのため出勤していました。また、収蔵庫や展示室の湿度調整に苦慮されていて、大量の除湿溶剤を購入し、各所に配置していました。

 最後に赴いたのが神野寺でした。実は、布施さん方で同寺の表門が倒壊したという情報をお持ちでしたからです。向かった最初のルートは通行止めで大きく迂回して反対側から登っていきました。山門と本堂は無事のように見えました(裏から見ると山門の瓦屋根が破損していました)。しかし、国の重要文化財に指定されている表門は情報通り倒壊していました。木が倒れたりしたせいではなく、暴風のためということでした。副住職の方に話を聞くことができ、大正6年以来の大被害ということでした。なお、その背後の奥の院や庫裏なども一部破損していました。また、宝物館自体は無事で、13日に県博協から照会があったようです。

 以上、思いつくままに記述しました。まず、寺社の建物が心配な状態です。今日伺ったなかでも無事なところもありましたが、風や倒木で倒壊・破損しているところがほかにもあるかもしれません。また、古い建物の青年館や自治会館・仏堂などはさらに破損の可能性が強いと思います。民家も屋根が破損した家が多く、中には旧家と思われるものもありますので、歴史・民俗資料が被災している可能性があります。布施さんの方で市内に被災した史料がある場合の情報提供を呼びかける予定とのことですが、当会としても情報発信を行っていく必要があると思います。
(文責:立野)(2019-9-20一部修正済・小関)
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