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ネットワーク通信2:国立歴史民俗博物館 高野宏康さん

千葉歴史・自然資料救済ネット「ネットワーク通信」ブログ担当一牛です。
4/15のMLでご案内させていただきました通り
この「ネットワーク通信」は
会員相互の交流をはかり、
また、資料ネットを広く世間の方に知ってもらうために行うもので、
会員が交代で簡単な文章をブログ・ML上に発信し、
それをリレー形式でつなげていこうというものです。
早速ですが、第二回目のリレー走者は
国立歴史民俗博物館、高野宏康さんです。
よろしくお願いいたします!

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ネットワーク通信2
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千葉歴史・自然資料救済ネットワークのみなさま

国立歴史民俗博物館の高野です。
先日、佐藤さんからご指名をいただきながら、対応が遅くなってしまい、
大変申し訳ございませんでした。千葉資料救済ネットには、立ち上げの
際から参加させていただいているのですが、昨年11月まで練馬区に
住んでいたため、なかなか参加できず残念に思っていました。
この機会に最近の取り組みを紹介させていただきます。

1.これまでの取り組み ~関東大震災資料の調査・整理~
私の専門分野は災害史・近現代史です。特に関東大震災を中心に資料調査・研究
に取り組んでいます。研究のきっかけは、2008年に神奈川大学非文字資料研究
センターに所属していた際に、北原糸子先生と、両国にある関東大震災の慰霊
施設、東京都慰霊堂の資料調査を実施したことです。収蔵庫にはほぼ未整理の
約1万2千点の関東大震災関連資料が保管されており、約3年間かけて整理・資料
リスト作成、重要な資料のデジタル化などを行いました。今後も保存状態の悪い
資料の修復、データベースの構築・公開など、課題はまだたくさん残っています。

なぜ膨大な震災資料が「放置」されるような状態になったかは、複雑な経緯がある
のですが、戦後、戦災の慰霊・展示施設を兼ねることになったことで、関東大震災
の位置づけが曖昧になったことがあります。さらに、慰霊堂の管理が、横網町公園
の公園管理業務の一部となったことで、展示や資料の管理が等閑視されてきたこと
も大きな要因と考えられます。近代日本で最大の被害を出した関東大震災の資料
が、90年を経てこのような状態になっているという事実からは、資料保存を考える
上でさまざまな「教訓」が得られるのではないかと思います。

このような作業を進める中で、震災資料をどのように整理・保存・活用するか、とい
う問題意識がうまれ、神戸の歴史資料ネットワークのみなさんと交流するようにな
りました。当時、阪神・淡路大震災15周年ということで、人と防災みらいセンターで、
震災資料の保存に関するシンポジウム報告を行うなど、災害の記憶の継承に関
する比較研究もはじめました。関東でどのようにして史料ネット的な活動を展開し
ていくかを議論しているところに、東日本大震災が発生したという次第です。

2.現在の取り組み
東京都慰霊堂の関東大震災資料の整理・調査から、いろいろな活動が展開して
いきました。ここでは主な活動を紹介いたします。

・国立歴史民俗博物館。第5室「近代」・関東大震災コーナーの検討、本年度開催
 予定の震災関連企画展など。2010~2012年度は機関研究員、本年度からは
 研究補助業務として取り組んでいます。
・東京都復興記念館。この5月から本年度新設された資料調査研究員という役職に
 嘱託で勤務することになりました。東日本大震災の発生、関東大震災90周年を迎え、
 ようやく資料や展示を改善する必要性が意識されるようになったようです。
・関東大震災90周年記念行事実行委員。8月31日に開催予定の記念行事をはじめ、
隔月に学習会、見学会等を開催しています。ご関心のある方はぜひご参加ください。
・首都防災ウイーク実行委員。9月1日の震災記念日から一週間、東京都慰霊堂および
 横網町公園を会場に開催される震災関連イベントです。震災関連の研究報告、
 シンポジウムだけでなく、復興記念館見学会、震災語り部の会、防災紙芝居、記念
 コンサートなど、盛りだくさんな内容です。こちらもご関心のある方はどうぞ。
・歴史資料ネットワーク(神戸)、神奈川歴史資料保全ネットワークの会員です。情報
 交換をしていければと思っています。

3.千葉資料救済ネットへの参加にあたって
国立歴史民俗博物館および、東京都慰霊堂・復興記念館への通勤のため、昨年11月
に本八幡に引っ越しました。今後はできるだけ千葉資料救済ネットの活動に参加させ
ていただきたいと思っています。以下、自分の専門に近いことで2点挙げてみました。

・近現代の資料。昨年、睦沢町歴史民俗資料館で久野さんから、睦沢町の関東大震災
 関連資料を拝見させていただきました。睦沢町周辺でも被災者救助、寄付、犠牲者の
 慰霊法要などが行われていたことがわかる貴重な資料でした。関東大震災に限らず、
 近現代の資料の調査・保存に取り組んでいければと考えています。

・東日本大震災関連の資料。現在進行形の震災資料の調査・保存も大切だと思います。
 千葉県では旭市飯岡が津波で被災したことがよく知られていますが、現地では震災資料
 の保存、体験記録を残すことに大変苦労しています。歴博企画展で「忘れじの時計」を
 借用するために調査に行ったところ、「いいおか津波を語り継ぐ会」のみなさんにお話を
 うかがうことで実態の一端を知ることができました。今後も調査を継続していく予定です。

すっかり長文になってしまい失礼いたしました。申し遅れましたが、私の出身は石川県、
大学は東京(明治大学)、大学院は神奈川(神奈川大学)で、千葉には土地勘がありません。
いろいろご教示いただければ幸いです。フィールドワーク、見学会等があれば参加したいです。

次回のネットワーク通信につきまして、よろしければ、千葉大に着任された引野さんに
お願いできればと思います。

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その他のお問合先
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