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古文書修補・研修日記5

朝一、横山先生が「ノートの、こういうところが弱るんだよね」と仰りながら、私が使っている大学ノートの表紙を開いて、表紙と本体部分の境目を指差しました。だいぶ使い込んでいるので、確かに境目にだいぶ亀裂(?)が入っています。

「補強するといいんだよ」
そう言うなり、先生はおもむろに表紙と本体を解体してしまいました(え~っ!?)
2.jpg
載せるほどの写真ではないのですが、こんな(↑)になりました。
今日の修補は急遽、ノートの修補…ではなく、「ノートの補強」(古文書修補の応用編)と相なりました。

ノートの本体部分に、「見返し」をつけます。
縦はノートと同じかもしくは少し大きめ、横はノートの2倍の和紙を2枚用意し、表(つるつるした面)を中にして谷折りにします。和紙の輪の部分とノートの綴じ部分を5ミリほどスティック糊で貼り合わせます。表・裏両方です。

背表紙になる部分に、補強のための和紙(幅1.5センチくらい)を張ります。
見返しの和紙も、背表紙に張る和紙も強度が求められるため、繊維を横にした向きで使います。

このまま剥がした表紙を張り直すと、見返し分の厚み(和紙4枚分)のため、表紙からノートがはみ出してしまいます。
すると、先生はさらに表紙を分解してしまいました(ぎゃっ!?)

表紙と裏表紙は、製本テープでつながっているようなものです。剥がすときは、裏表紙のほうを剥がすと、見た目はキレイに仕上がります。製本テープの部分は表紙についたままです。先に裏表紙を張り、その後、表紙の位置を決めて、背表紙の製本テープを張ります。

4-2.jpg
左側の写真の、背表紙をよく見ると、裏側に白い筋が縦に入っているのがわかります。これが、見返しが増えたことで増した厚みです。
右側の写真は、この状態だとよくわかりませんが、見返し(和紙)をつけた状態で、私の味気ない大学ノートがやけに立派になった状態です。

このノートはどんどん書き込みが増えるので、人には見せられない(いずれ清書が必要な)ノートなのですが、大事に保存しなければいけないノートになりました。

こんな調子で、午前中の半分はノートの補強作業となりましたが、今日はコンディションがよかったのか、この後一気に「裏打ち」作業が進み、なんと本紙50枚の「裏打ち」が本日をもって終了したのでした。
来週は、50枚の資料の文字チェック、ゴミや折れがないかなどの状態チェックをして、裁断することになります。表紙・裏表紙が大きく破損しており、それをどのように修補するか、検討課題が残っていますが、ちょっとゴールが近づいてきたような気がします。
《研修日:2014/05/21》

【お知らせ】
横山先生が、昨年柏市で、白井の修補活動を講演したときの講演録が活字になりました。関心のある方は、ぜひご一読ください。

横山健次「平成25年度歴史講演会講演録 第二部 古文書の修補-白井市でのボランティアを通して-」(『かしわの歴史-柏市史研究-第2号』柏市史編さん委員会、平成26年3月28日)
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