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古文書修補・研修日記15

竪冊の「虫損直し」に入ります。
前回写真で紹介したとおり、今回の資料は裏表紙が大きく破損しています。
そのため、本来「虫損直し」は裏打ちをしませんが、表紙と裏表紙だけは裏打ちをすることになりました。

ただ、研修はお盆休みが入ったため、2週間ブランクがあり、
いきなり表紙と裏表紙の「虫損直し」&裏打ちをする自信がなく…

(自分の判断で)今回はリハビリを兼ねて、本紙の2丁目から「虫損直し」をすることにしました。

以前紹介したとおり、「虫損直し」の場合は、虫損だけをピンポイントで直していくので、余分な水分が本紙に吸収されないようにします。汚れを吸着させるために使うレーヨン紙も、乾燥した状態で剥がします。
剥がしたレーヨン紙に汚れが吸着していることがわかります(写真↓)
クリーニング

「虫損直し」は固糊(=糊を裏漉しし、少し練った状態の糊。これに水を加えてさらに伸ばしたものを、裏打ちに使う)を少し緩めたものと、印刀、小刷毛を使います。印刀と小刷毛の持ち方は以前紹介しましたが、なかなかうまく行きません。

何度かやりなおしているうちに、結局、焦ってはいけない、ということがわかりました。
直す場所に糊を適量付け、直す位置を確認しながら直し紙を当て、印刀の位置を確認し、焦らず丁寧にちぎっていく。
直す位置を確認し、ゆっくり直し紙を裂いていけば、ちゃんと虫損は塞がります。
先生や先輩スタッフさんが手際よく直していく作業をみていると、なんとなく焦ってしまいますが、
あれは、経験がなせる技。
今は時間がかかっても、納得しながら丁寧に作業していくしかないと思いました。

ただ、左利きのせいか、印刀を左手に持ち替えてみたら、私の場合は手元がよく見え、力加減も適度で、やりやすように思いました。
左と右では印刀の刃の向きが変わってしまうのですが、それでもきれいに仕上がればいいかなぁ…。

今日は、糊作りもしましたので、ちょっとご紹介します。
糊1
左上の写真は、糊に水を入れて火にかけ始めたときの状態。小麦粉で作った粉の糊1に対し水4。火にかける前に粉をよく混ぜて溶かします。
約30分を目安に、ひたすら糊を火にかけてまぜます。はじめは強火、途中から弱火にします。焦がさないように注意します。途中から糊に粘り気が出てくるので、力がいります。
糊ができあがる目安は、①しゃもじで糊をわけたとき、道ができる(写真右上)、②糊をしゃもじですくったとき、落ちにくい程度の固さになっている(写真左下)、③粘り気がでる(写真右下)状態になっていることです。

糊ができたら、たらいなどに水をはって、鍋ごと冷やし粗熱をとります。そのとき、糊の表面が乾燥しないように、濡れタオルなどをかぶせておきます。
粗熱がとれたら、漉して使います。使わない分は、キッチンペーパーに小分けし、タッパーなどに入れ、冷蔵庫で保管します。消費期限は約1ヶ月。時々糊の状態をみたほうが安全です。古くなると、カビ(ぬめり)が発生することがあります。そのときは表面を水洗いして、キッチンペーパーをとりかえます。
長期間使わないときは、ラップに包み直して冷凍することも有効のようです。使用するときは、凍ったまま鍋に入れ、水を少々入れて練り直します。ほぼ凍らせる前の状態に戻ります。資料館では鍋での解凍がいいのか、電子レンジでもできるのか、様々な試みをしています。

次回(…といっても、日記の更新が遅くなってしまったので、すでに明後日は研修日)はおそらく、午前中に残りの虫損直しを済ませ、午後は表紙・裏表紙の裏打ちにとりかかります。
〈研修日:2014/08/19 後藤恵菜〉
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