竪冊資料の裁断と製本にとりかかります。
まず、「裏打ち」をした表紙・裏表紙の余分な裏打ち紙を裁断します。
最初に、本紙の「地」=下の部分の裏打ち紙を、本紙を切らないぎりぎりのところで裁断します。

それから、「地」から本紙の「天」までの長さを測ります。
今回は裏表紙が大きく破損しているので、基準になるのは表紙の縦・横になります。
本紙の縦・横の長さをそれぞれ3カ所ほど測ります。その最大値が裁断の基準になります。
次に「こより」を作ります。
今回の竪冊を綴じていた「こより」は下側の1本しか残っていませんでしたが、綴じ穴は4つあり、本来は2カ所が綴じてあったと思われます。残っていた「こより」は表にくる部分が帯状になっており、綴じ穴は丸穴。「こより」の両サイドは縒ってあり、裏で片蝶結びになっていました。残っていた「こより」はクリーニング・裏打ちをし、紛失している分は、裏打ちした「こより」と同じ厚みの和紙を使って、新たに作りました。写真左の下が残っていた「こより」です。それらを、残っていた「こより」の汚れ跡にあわせて折ると、写真右のようになります。

表紙・裏表紙に本紙の中身を挟み、地と小口の部分を揃え、表紙の綴じ穴に、目打ちで穴を開けます。
そのあと、「こより」を通して、最初の状態と同じように綴じました。
最後に、資料館の職員の方が事前に撮影した写真をもとに、資料が順番通りに並んでいるか確認をしてもらい、OKが出ると、半端な「こより」をカットして完成となります。

今回の資料は裏打ちしなかったのですが、実際クリーニングをしてみると、思いのほか紙が「やわい」感じだったため、綴じるために縦横を整えるのがなかなか大変でした。裏打ちをすると、「手を加えた」感じは否めませんが、やはりできあがりはきれいなような気がします。手をいれたほうがいいのか、できるだけ手入れを控え、現状を維持した方がいいのか、容易に答えは出ません。でも、「こより」は案外きれいにできあがり、ちょっと満足しています。
次の資料は、再び「状モノ」を用意していただきました。
古文書調査では、継ぎ目の剥離した状モノが多く散見されるので、できるだけ修補の経験を積めたら…と思っています。
今日は調査とクリーニングをしました。次回は裏打ち作業をする予定です。
〈研修日:2014/09/03 後藤恵菜〉
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