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古文書修補・研修日記20

前回の研修では、後半から新しい状モノ資料にとりかかりました。
状2枚を継いだもので、1紙目は右上部がやや大きく欠損し、ふやけた状態になっています。
2紙目は虫損があるのみで、状態はしっかりしています。

前回の大きな失敗は2点です。
①状の折り目を事前に湿らせて伸ばす作業をやらなかった
②1紙目がふやけた状態であることを、ちゃんと認識せず、作業を始めてしまった

①は、クリーニングをする際、ほとんどの資料で行った方がよい作業です。紙資料には多かれ少なかれ折れ皺がついているので、クリーニングに入る前に、小刷毛を使って湿りを加えておいた方が、皺伸ばしがスムーズにいくのです。この作業をすることで、改めて資料の状態も確認できます。「このくらいは大丈夫かな?」という気の緩みが、後の作業を大変にしてしまいました。

②調査の時点で破損・汚損などがあることは理解していたものの、それが「ふやけ」に近い状態であることを、ちゃんと理解していなかったため、クリーニングをするために水をかけながら資料を広げてみたところ、ふやけ部分がそのままくしゃくしゃになり、広げるのがとても大変になりました。自分で判断せず、先生に早めに状態チェックをしていただくべきでした。

実は、ふやけがある場合は、修補の過程が変わります。今回はその自覚がなく作業を始めてしまったため、急遽作業過程が変わり、それでなくとも未熟な私は大慌てしてしまいました。

今までは、ふやけがある場合、「ふのり」を使って修補をしていましたが、最近は別の方法を取り入れていますので、それを紹介します。

ふやけがある資料を修補する
1)資料の状態調査…現状の写真撮影(白井では職員の方が事前に撮影)、資料の表題、作成年代、形態、点数、資料の計測、状態、押印や朱書の有無などの記録

2)必要な道具の準備
   カッターマット(もしくは渋紙)、ポリエステル紙(2)、目打ち、ピンセット、小刷毛(小筆)、
   刷毛(水刷毛・糊刷毛・撫刷毛)、たらい(2)、裏打ち紙、直し紙・足し紙、糊、タオル など

3)クリーニング
・事前に、小刷毛を使って折れ皺に湿りを与える
・カッターマットにポリエステル紙を敷き、資料の裏面を上にして置く。水をたっぷり与えながら軽く皺を伸ばす。
・虫損のめくれなどを直しながら、ポリエステルを乗せ、汚れをはき出す(両面)。

4)虫損直し・裏打ち
・クリーニングが終了したら、すぐに裏面に糊をかける。本紙の状態が悪い(虫損が酷いなど)場合は、ポリエステルの上から一度糊をかけると、破損部分が安定する。ポリエステルを丁寧に剥がしてから、改めて糊をかけ、虫損直しをする。
・必要に応じて天地・左右に足し紙をする
・裏打ち紙を貼り、乾燥させる(=裏打ち紙と本紙が密着する)

5)裏打ち紙の裁断・完成

これまでの修補と大きく違うことは
①レーヨン紙を使わない
②クリーニングの後すぐに裏打ちする
ということです。
ふやけている資料は和紙の繊維がもろく、あるいは毛羽立っている状態なので、レーヨン紙(=汚れを吸収する紙)を使うと、乾燥したあと、レーヨン紙と本紙のふやけた部分が密着して剥がせなくなってしまいます。一方、ポリエステル紙は水や汚れを通しやすく、くっつきにくい性質なので、ふやけた紙にも有効なのです。
レーヨン紙を使った方が、乾燥時に汚れを吸着させるので、クリーニング効果は高いといえますが、資料の状態によって対応を変える必要があります。

通常の作業では、クリーニングと裏打ちのあいだに「乾燥」という時間が入りますが、ふやけ資料の場合は、クリーニングから裏打ちまで一気に作業します。そのため、道具も一通り揃えておかないと、段取りよく作業が進みません。
いずれにしても、最初の調査、資料の状態観察が非常に大事で、それによって、臨機応変に修補の方法を変えていかなければいけない、ということを学びました。

今日は、この資料の2紙目をクリーニング・裏打ちし、別の状モノ資料2点にも取りかかりました。
資料によって、かかる時間や作業の流れが少しずつ変わってくるので、いくつかの資料を抱えて作業を進めることもあります。気を抜かず、焦らず、丁寧に仕事を覚え、こなしていきたいと思います。

〈研修日:2014/09/24 後藤恵菜〉
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