約2ヶ月ぶりに修補活動が再開しました。
活動が休みのあいだ、結局ブログの更新をさぼってしまいましたが、2ヶ月前のブログを読み返し、今日の作業を確認しました。意外と役に立ちました。
今日最初にやるべきことは、収入印紙や訂正紙が付いていた状モノの該当箇所に、それらの印紙を貼り、裏打ち紙を裁断して完成させることです。
その前に、糊作りをしました。
糊作りについては何度か紹介しましたが、今回の作業でまた少しわかったことがあるので、補足しておきます。
糊が焦げつかないように、鍋の中の糊を必死でかき回しますが、側面に糊がついて固くなってしまう部分があったり、鍋の底でかき回しきれずに固まっている部分が出てきます。
本体の部分と、練り加減に違いができてしまったものを無理に剥がして混ぜると、結果的にうまく混ざらずダマになってしまいます。
もったいないと思っても、そのような固さの違う糊ができてしまったら、無理にはがして混ぜたりすることはしないほうがいいようです。ダマができてしまっても、使う前に丁寧に漉せば使えますが、やはり最初から丁寧に、慎重に鍋をかき回すことが肝要だということを、改めて体感しました。
さて、クリーニング・裏打ちまで終了している状モノに、訂正紙を貼る作業です。
訂正紙を剥がした状態でコピーをとったあと、該当部分に訂正紙を貼り戻します。全体に糊をつけてしっかり貼り付けてしまうのではなく、固糊を天部にのみ付けました。
写真左が訂正紙を貼る前、右が貼った後です。訂正紙の上にかぶった朱印や文字がちゃんと揃うように気をつけます。

訂正紙を貼ったあと、少し重しをのせて安定させたあと、裏打ち紙の余白を裁断して、この作業は終了です。
正確にいえば、この訂正紙を貼って少し重しをしているあいだに、次の資料をもらって調査をしておきます。状モノの場合、資料の状態によって作業の進捗度がかわってくるので、複数の資料を平行しながら作業していくことが多々あります。
新しい資料は書簡(状モノ)です。2枚の状を継いだものですが、継ぎ目は剥離していました。また、袖裏(紙の出だしの裏にあたる部分)に差出人と宛所が書いてあります。

この書簡のような場合、作業の進め方として、おおまかに2パターンが考えられます。
①本紙の状態が良く、しっかりした紙である場合…クリーニング・虫損直しのみ行う
②本紙の状態が悪い(虫損が多く、紙が弱っている)場合…(たとえば上記の写真資料が②の場合)本文の書かれている部分の裏面に裏打ち紙をするが、袖裏書きがある袖部分は表から裏打ちをする。裏面全体に裏打ち紙をする場合は雁皮紙や薄い裏打ち紙を使用する(文字が見えるように)場合もある
今回の資料は①に相当するものだったので、クリーニング→虫損直しのみ、という段取りになりました。そのため、裏打ち紙は不要。レーヨン紙だけ、必要な大きさを裁断して用意しました。
虫損直しはしっかり乾燥した状態で作業しなければならないので、今日はクリーニングまで終えると、もう1点新しい資料をもらって調査をしておくことにしました。
次回は書簡の虫損直し、新しい資料(状モノ)のクリーニング作業をする予定です。
〈研修日:2014/12/03〉後藤恵菜
スポンサーサイト
コメントの投稿