9/14(土)の君津地域被害状況確認調査の追加報告です。
被害が確認された建物の概要を紹介します。まず、某神社です。

拝殿に向かって左側に立っていた大木が根本から倒れ、拝殿の左半分が大きく潰れていました。本殿は拝殿の奥にありますが、幸いこちらには被害がありませんでした。
亀山神社(↓)は本殿に大木が倒れかかっていました。

建物周辺ではこの1本の木だけが根っこから倒れていました。本殿はやや右へ傾いて建っている状態ですが、周辺も自宅周辺の片付けに追われている様子で、倒木の撤去には時間がかかりそうです。本殿がどこまで重さに耐えられるか心配です。
神野寺。重文の表門(↓)

風の強さだけで倒れたそうです。大正6年の台風(千葉県では大海嘯の被害が知られていますが、風の被害も大きかったそうです)でも被害をうけており、今回倒れた柱には「大正八年修補」の焼き印がありました。
この表門は重文指定を受けているので、担当者が入る予定だそうですが、久留里神社の拝殿や亀山神社の被害は文化財指定の部分ではないため、今後どのように修復を進めていけるのか心配です。
久留里城址資料館も、館へ向かう道が大変なことになっていました。
観光客は通常、城の下に用意された一般駐車場で車を止め、そこから15分ほどの急坂を歩いて資料館に行きます。職員の方は資料館まで車で行くのですが、今回の台風のため、現在は職員の方も下の駐車場から歩いて館を往復しなければなりません。これだけでかなりの重労働です。
写真(↓)からわかるとおり、道の途中に折り重なるように木が倒れており、その一部は電線にかかっています。支柱・支線は東電の管轄外で市の管轄となるそうですが、市内の復旧作業が優先されるため、館は停電状態が続いています。
そのため現在も電気・電話・PC等が一切使えず、外部からの通信が途絶えた状態が続いています。事務室ではラジオの音だけが聞こえていました。当分のあいだ、電気の回復した地域の公民館施設などに職員を待機させ情報収集・発信にあたることも検討中とのことでした。

電気が止まっているため、
収蔵庫・展示室の空調・湿度管理が最大の悩みということでした。台風直後に安定していた湿度も徐々に上昇したとのこと。傾向から考えると更なる上昇が考えられ、また職員は当面、資料に時間を割けないことが予想されたため、ドラッグストアの再開を待って、収蔵庫と展示ケースの中に、市販の除湿剤を置いて取り急ぎ対応したということでした(↓)。この段階で60%まで上昇してきた湿度は除湿剤使用後、57%程度で維持されているそうです。
展示室の空間部分は広いため、除湿剤を設置しなかったそうです。湿度は次第に上昇して70%を超え、機密性が高いために下がらず、日によっては屋外の湿度が50%でも、内部は高いままとのこと。空間部分に資料はほとんどありませんが、展示ケース内へ高湿が影響してしまうため、虫の侵入を懸念しながらも、排煙口を開けて直接外気を入れ、湿度を下げた日もあるということです。

資料館では除湿剤の成分である塩化カルシウム等が資料に与える影響を心配されつつも、非常措置としてあえて使ってみている、とのことでした。「一時的な措置とはいえ、影響は心配。いずれ測定の必要もある。測定方法や対策を考えたい」あるいは、「広範囲の湿度を調整する他の簡易な方法があれば知りたい」、という声も聞かれ、今回このブログでも発信させていただきました。
市民生活の復旧にかける時間が優先となるそうですが、合間に対応できる簡易で安全な方法をご存じの方がいっしゃいましたら、当資料ネット(chibasiryounet@gmail.com)までお知らせください。館の担当者とは個人メールなら通信可能なときがあるので、お伝えいたします。よろしくお願いいたします。
また、
久留里城址資料館は当面のあいだ休館です。
今回の台風による被害情報は、通信手段が遮断されているためなかなか入ってきません。
君津地域をみてまわった印象は、とくにかく
「風」による被害→それにともなう
「電気系統の不通」が被害を大きくしているのだと思いました。昨年も千葉県では風台風の被害が大きく
「塩害」に見舞われました。これまでも、大雨の被害・海嘯の被害はありましたが、風による被害も少なくないのだということを改めて思います。
千葉県におこる自然災害として「風の害」を改めて意識し、これまでの歴史を調べて理解しておくことも、重要な課題なのではないかと思いました。
通信網が復活したら、様々な情報が入り、改めて被害の状況がみえてくると思います。被災された方々に改めてお見舞申し上げるとともに、少しでも現場でご苦労されている関係者の方々のお力になれるよう、資料ネットでもできる限り、被災資料の確認・救援・保護の手伝いをしたいと思います。(文責:後藤) (2019-09-17 17:30 一部編集済・小関)(2019-09-21 一部編集済・小関)