fc2ブログ

Entries

千葉市在住I氏所蔵資料の調査・保存活動について

2020年度から運営委員を中心に取り組んだ、千葉市在住Ⅰ氏所蔵資料の調査・保存活動について報告いたします。

茨城県出身者の中国戦線での従軍関係個人史料を主とするⅠ氏所蔵資料の保存活動は、所蔵者から相談を受けた茨城史料ネットより、当ネット共同代表(檜皮)に照会があり、千葉市立郷土博物館(千葉市史編さん担当)の協力を得て行ったものです。

以下、具体的な活動について報告します。

〇第1回Ⅰ氏所蔵資料調査
・日時:2020年10月8日(木) 
・場所:千葉市立郷土博物館
・参加者:当ネット4名(久留島浩・檜皮瑞樹・小関悠一郎・鈴木凜)、千葉市史編さん担当、史料所蔵者(Ⅰ氏)
・作業内容:所蔵者からの聞き取り、史料現物の確認、取扱について打合せ

史料

調査風景


〇第2回Ⅰ氏所蔵資料調査
・日時:2021年4月7日(水)
・場所:千葉市立郷土博物館
・参加者:当ネット3名(久留島・檜皮・小関)、千葉市史編さん担当、埼玉大院生1名、千葉大学部生3名
・作業内容:史料撮影、仮目録確認(千葉市史編さん担当作成)
※4月24日(土)補足調査(檜皮)

〇茨城への引き渡し
・日時:2021年6月13日(日)
・場所:千葉市立郷土博物館
・立ち合い者:檜皮、佐々木氏(茨城ネット)、千葉市史編さん担当

当該史料は、6月15日(火)に茨城県内最終保管先への搬入が完了しました。
復員後の生活を詳細に綴った日記をはじめ、貴重な史料が含まれています。今後、保存・活用されていくことを期待したいと思います。

この間、貴重な史料をご寄贈いただいた所蔵者様、茨城史料ネットの皆様、千葉市立郷土博物館、その他ご協力いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。


台風15号被災資料救済活動(3/9、館山市にて)

2019年9月25日付けのブログ記事で報告した、館山市での被災資料救済活動の続報です。

NPO法人安房文化遺産フォーラムからの要請を受け、
2020年3月9日(月)に、運営委員5名が館山市に赴き、同法人が管理している資料(水損資料)の乾燥処理を、同法人メンバー等と協働で行いました。
※ 緊急事態宣言発令前ではありましたが、移動・作業に際しては、可能な限り、新型コロナウイルス感染症拡大防止には留意しました。

対象資料は、台風15号による水損被害を受けた直後に、同法人が家庭用冷凍庫で凍結処理をしていたものです。
今回は、凍結処理後の対応を当ネットの運営委員が説明・実演した後、
運営委員・法人メンバー協働で、①ヘラを用いた資料の解体、②密封可能な袋・新聞紙・掃除機を用いた撥水、③新聞紙を用いた更なる撥水・乾燥という作業を行いました。

①ヘラを用いた資料の解体 写真:作業①
作業当日までに、自然乾燥をしていただいています。
資料にカビが発生しているので、防じん用のマスクをして作業します。

作業②密封可能な袋・新聞紙・掃除機を用いた撥水  写真:作業②
用意していた布団圧縮袋のサイズが大きく、掃除機で空気を吸い込みきれなかったため、資料保存用品(モルデナイべ)を使用。「その場でできる最良のことをする」「すぐに用意できるもの・あるものを使う」ことで、資料は救済されていきます。

なお、現在は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、マスク・アルコールといった、資料保全・救済のために必要な資材を手に入れることが難しくなっています。
また、資料保全・救済のための活動には、通例、人の移動や自宅外での活動が伴います。
当ネットとしても、社会の状況を踏まえたうえで、すべきこと・できることを考えながら、活動しています。

制約がある状況下ではありますが、可能な範囲で対応させていただきますので、
資料のことで当ネットに頼みたい・聞きたいことがあれば、代表メールアドレスまでご連絡ください。
(小田記)

大雨による被害状況の確認について

今回の低気圧に伴う大雨により、浸水等の多くの被害が出ております。
被害に遭われた方々に、心よりお見舞申し上げます。

当ネットでは、先の台風被害の際と同様に、官民を問わず、広く被災資料の有無
について、情報を収集しており、今回の大雨による浸水被害では、県内の民間所
在の古文書資料に水損被害が出たところがあることが確認されました。

資料のレスキューが必要な場合には、人手や資材の提供等についてご相談に応じ
ることができます。
お気づきの点やご要望などがありましたら、当資料ネット
(chibasiryounet@gmail.com)までご一報いただければと存じます。

台風15号被害 現地報告(南房総市①)

10月1日(火)、南房総市を訪問し、歴史資料等の被害確認を行ってきました。訪問者は当ネットワーク運営委員2名・同会員1名(小関・後藤・鈴木)です。今回は訪問先のうち、特に早急な処置が必要と思われた某寺の被害についてご報告いたします。

南房総市の某寺では、本堂裏側の屋根瓦が多数破損、本堂全体に雨水が浸入してしまったとのことです。
(写真左:屋根写真)

本堂屋根破損に伴う雨漏りにより、畳等が濡れ(既に処分済)、白壁には水が上から垂れた跡がはっきり残っていました。特に憂慮されたのは、明治初年に描かれた天井絵・欄間絵にカビが生じてしまっていることです。
(写真右:天井絵写真)
長泉寺 ・ブログ用

この天井絵は、例年、地元の子供達に見せる機会があるものだということです。
絵1枚ずつに寄進者名・村名が書かれており、子供達は絵を見て初めて古い村の名前(近世村名)を知ったり、自分の先祖の名前を見出したりするそうで、地元の歴史を学ぶための貴重な素材ともなっているものです。

現ご住職・前ご住職は、何とかしたいが対応に苦慮していると話されていました。

訪問時は天井絵ということもあり対処できませんでしたが、今後、何らかの処置が可能な場合、連絡を取って対応していくことになっております。
この件でお気づきのことがおありの方は、ご助言等ぜひ当ネットまでお寄せいただければ幸いです。

支援協力のお申し出③

愛媛・茨城・熊本・新潟(下記URL)の資料ネット・関係者の皆様、および(株)資料保存器財様から、台風15号の被害対応に関連する支援協力についてお申し出をいただきました。

新潟ネット
http://nrescue.s1006.xrea.com/

また、愛媛資料ネット様からは南房総市の文化財被害についてご連絡・ご教示をいただいております。

関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

「無酸素パック モルデナイベ」ご提供のお申し出もいただいております。
被災資料の運搬や一時保管など、昨年の西日本豪雨時にも広島・岡山・愛媛での対応に提供され、フル活用されたとのことです。
https://www.hozon.co.jp/archival/product_other_2.html

台風15号被害 現地報告(館山)

9月17日に訪問した館山市域等の状況について、ご報告いたします。
参加者は運営委員の立野・小田・黒田です。五井駅で合流し館山自動車道で南下しましたが、館山に近づくに従って建物被害が深刻な様子でした。

まずNPO法人安房文化遺産フォーラムの第1事務所(館山市館山)で、事務局の方お二人にお会いしました。第1事務所が雨漏りしたため、葉書・書簡・植物標本などの資料を小学校の廃校舎に移動する作業を行いました。
移動の途中で、より甚大な被害を受けたという第2事務所に立ち寄りました。ここは安房自然村という宿泊施設の裏手にあるトタン屋根の建物で、普段はこの場所で資料の保管・整理作業を行っていたそうです。が、屋根が吹き飛んでしまい空が見える状態でした。被災した資料は廃校舎に移動済みでしたが、回収しきれなかった資料が散見されたため急遽レスキューに入りました。
館山1

古い調査資料やレコードなどの資料も現場に残っている状態でしたので、これらをひとまず屋根のある部屋に運び込み、翌日予想されていた降雨に備えました。特に水損の激しかった資料はNPO法人事務局員の冷凍庫で保管、奇跡的にほとんど濡れなかった一部の資料(段ボール一箱分)はNPO法人代表宅で保管されています。

第2事務所での作業後、廃校舎に移動されている資料の確認に行きました。整理途中のため目録はありませんが、資料群ごとのおおよそのまとまりは保たれていたので、事務局の方と確認しながら、箱ごとに中の資料の出所がわかるようにメモを付け、写真を撮りました。これらのうち、湿っているものは広げて乾かしましたが、既にカビが広がりつつあります。アルコール噴霧の方法などを説明し、詳しくは後日作業マニュアルを送付することにしました(9月18日に発送)。
館山2 館山3

廃校舎には電気が通っていたので、作業場所として使えそうです。人手は少ないそうですが、「自分たちが守ってきた資料」だという意識が強く感じられましたので、連絡を取り合いながら先方の求める支援をする必要があるかと思います。(黒田)

停電・空調不全時の湿度管理について

先日配信した資料館における停電時の湿度管理の問題(9月16日既報)につきまして、当資料ネットに宛てて県内外からいくつものご助言をお寄せいただきました。
その一部を当ネットで取りまとめ、ご紹介いたします。
なお、以下の内容はお寄せいただいたご助言に基づきつつ、当ネットの責任で取りまとめて発信するものです。状況により適切な対処方法は異なりますので、ご留意いただければ幸いです。

資料保管場所における停電・空調不全時の湿度上昇への対処について
・指定物件があれば緊急的な避難が必要
・他の資料についてはトリアージの上対応
→顔料のついている絵画(日本画のようなもの)・皮革製品等は、一時的に別の安全な場所へ移動、あるいは蓋つきのコンテナ(蓋のあるテンバコでも可)に入れてアートソーブで調湿。
→影響の少なそうな出土資料、比較的湿度変化に強い和紙の文書類(特別貴重なもの以外)は後で対応
・市販の除湿剤は自然史系の収蔵庫で使っている例あり
・温度、湿度、酸素のどれかをコントロールして劣化要因を除去することが有効
・シリカゲルの使用が良い
・除湿剤が史料に直接触れなければ問題ないと思われる
・脱酸素剤とともに密閉することで菌の繁殖を抑えることができるとの報告あり
・安定的な対応ができる体制を確保してから短期間で対応するのが良い
------以上
久留里城址資料館5

この他にも、今回の台風被害に関して、県内外から様々なご知見をご提供いただいております。
ご知見をご提供くださいました皆様には厚く御礼申し上げます。

県内の関係者の方でお困りのことがありましたら、当ネットで、ご連絡を取らせていただきながら、差し障りのない形で発信し、情報提供を呼びかけることができます
何かございましたら、ぜひご一報ください。

また、県外の資料ネット・関係者の方から、必要な資材等の提供についてもお申し出をいただいております。
歴史・自然資料への台風被害の対応に必要な資材等についても、ご要望がありましたら、どうぞお知らせください

(小関・記)

台風15号被害 現地報告(君津)②

9/14(土)の君津地域被害状況確認調査の追加報告です。

被害が確認された建物の概要を紹介します。まず、某神社です。
久留里神社
拝殿に向かって左側に立っていた大木が根本から倒れ、拝殿の左半分が大きく潰れていました。本殿は拝殿の奥にありますが、幸いこちらには被害がありませんでした。

亀山神社(↓)は本殿に大木が倒れかかっていました。
亀山神社
建物周辺ではこの1本の木だけが根っこから倒れていました。本殿はやや右へ傾いて建っている状態ですが、周辺も自宅周辺の片付けに追われている様子で、倒木の撤去には時間がかかりそうです。本殿がどこまで重さに耐えられるか心配です。

神野寺。重文の表門(↓)
神野寺
風の強さだけで倒れたそうです。大正6年の台風(千葉県では大海嘯の被害が知られていますが、風の被害も大きかったそうです)でも被害をうけており、今回倒れた柱には「大正八年修補」の焼き印がありました。
この表門は重文指定を受けているので、担当者が入る予定だそうですが、久留里神社の拝殿や亀山神社の被害は文化財指定の部分ではないため、今後どのように修復を進めていけるのか心配です。

久留里城址資料館も、館へ向かう道が大変なことになっていました。
観光客は通常、城の下に用意された一般駐車場で車を止め、そこから15分ほどの急坂を歩いて資料館に行きます。職員の方は資料館まで車で行くのですが、今回の台風のため、現在は職員の方も下の駐車場から歩いて館を往復しなければなりません。これだけでかなりの重労働です。

写真(↓)からわかるとおり、道の途中に折り重なるように木が倒れており、その一部は電線にかかっています。支柱・支線は東電の管轄外で市の管轄となるそうですが、市内の復旧作業が優先されるため、館は停電状態が続いています。
そのため現在も電気・電話・PC等が一切使えず、外部からの通信が途絶えた状態が続いています。事務室ではラジオの音だけが聞こえていました。当分のあいだ、電気の回復した地域の公民館施設などに職員を待機させ情報収集・発信にあたることも検討中とのことでした。
久留里城址資料館3-2 久留里城址資料4-2

電気が止まっているため、収蔵庫・展示室の空調・湿度管理が最大の悩みということでした。台風直後に安定していた湿度も徐々に上昇したとのこと。傾向から考えると更なる上昇が考えられ、また職員は当面、資料に時間を割けないことが予想されたため、ドラッグストアの再開を待って、収蔵庫と展示ケースの中に、市販の除湿剤を置いて取り急ぎ対応したということでした(↓)。この段階で60%まで上昇してきた湿度は除湿剤使用後、57%程度で維持されているそうです。
展示室の空間部分は広いため、除湿剤を設置しなかったそうです。湿度は次第に上昇して70%を超え、機密性が高いために下がらず、日によっては屋外の湿度が50%でも、内部は高いままとのこと。空間部分に資料はほとんどありませんが、展示ケース内へ高湿が影響してしまうため、虫の侵入を懸念しながらも、排煙口を開けて直接外気を入れ、湿度を下げた日もあるということです。
久留里城址資料館②
資料館では除湿剤の成分である塩化カルシウム等が資料に与える影響を心配されつつも、非常措置としてあえて使ってみている、とのことでした。「一時的な措置とはいえ、影響は心配。いずれ測定の必要もある。測定方法や対策を考えたい」あるいは、「広範囲の湿度を調整する他の簡易な方法があれば知りたい」、という声も聞かれ、今回このブログでも発信させていただきました。
市民生活の復旧にかける時間が優先となるそうですが、合間に対応できる簡易で安全な方法をご存じの方がいっしゃいましたら、当資料ネット(chibasiryounet@gmail.com)までお知らせください。館の担当者とは個人メールなら通信可能なときがあるので、お伝えいたします。よろしくお願いいたします。
また、久留里城址資料館は当面のあいだ休館です。

今回の台風による被害情報は、通信手段が遮断されているためなかなか入ってきません。
君津地域をみてまわった印象は、とくにかく「風」による被害→それにともなう「電気系統の不通」が被害を大きくしているのだと思いました。昨年も千葉県では風台風の被害が大きく「塩害」に見舞われました。これまでも、大雨の被害・海嘯の被害はありましたが、風による被害も少なくないのだということを改めて思います。
千葉県におこる自然災害として「風の害」を改めて意識し、これまでの歴史を調べて理解しておくことも、重要な課題なのではないかと思いました。

通信網が復活したら、様々な情報が入り、改めて被害の状況がみえてくると思います。被災された方々に改めてお見舞申し上げるとともに、少しでも現場でご苦労されている関係者の方々のお力になれるよう、資料ネットでもできる限り、被災資料の確認・救援・保護の手伝いをしたいと思います。(文責:後藤) (2019-09-17 17:30 一部編集済・小関)(2019-09-21 一部編集済・小関)

台風15号被害 現地報告(君津)①

 9月14日(土)、台風15号で被害を受けた千葉県君津市の被害状況確認調査をしてきましたので報告いたします。
 参加者は、久留里城址資料館の布施さんの案内で、ネット運営委員小関・立野・後藤、君津在住で当ネット会員の稲葉さんの5名です。

 今回訪れた場所: 某所/久留里神社(浦田)/久留里城址資料館/大日堂(怒田)/大原神社(平山)/藤林青年館/亀山神社(滝原)/黄和田畑青年館/柳城青年館/神野寺

 地域の概況ですが、まず、建物については、若干地域によって差はありますが、どの地区においても、かなりの数の家の屋根が破損していました。特に、古い瓦屋根やトタン屋根のものが目立ち、多くはブルーシートに覆われていましたが、まだ、それもできていない家がありました。また、もともと茅葺き屋根で、それを銅板で覆っていたものの、銅板が大きくめくれ、茅が剥き出しとなっていた母屋もありました。一地区軒並みということはありませんが、全体の被害件数は相当数に達しているものと思われます。なお、ごく一部ですが、倉庫などで全壊しているものもありました。
 道路は、主な道は通ることが可能でしたが、一部通行止めの道もあり、小さな道の場合はまだ通行ができないものも多いと思います。通ることが可能な道でも、おそらく台風直後は大量の土砂や折れ枝、あるいは倒れた樹木の幹で通行が不能か困難だったと思わせる痕跡がありました。多くの樹木が幹の途中で折れていたり、根こそぎ倒れていたりしていました。特に、杉の木がひどいようです。鹿野山付近では、一帯の杉がほとんど折れるか、同じ方向に傾いている林がありました。なお、信号が点滅していない交叉点もあり、停電が復旧していない地区もあります。久留里のセブンイレブンでは、おにぎり・弁当類やパンなどがほとんどありませんでした。

 本日の当初の目的は、某所の資料を救出することでしたが、所有者のご判断で延期となりました。場合によっては、要請があるかもしれませんので、その時には可能ならば対応できる人は現地へ行けるようできればと思います。
 次に久留里神社ですが、拝殿の部分に杉の巨木が倒れかかり、屋根がつぶれひどく破損し、それを業者の人が伐採したりして、除去する作業をしているところでした。
 また、同じように拝殿にやはり杉の大木が倒れかかっていたのが亀山神社です。ただ、こちらは、屋根がつぶれず、その上に杉がのっかった状態でした。大日堂と大原神社の建物は無事でした。ただ、大原神社の場合、かなりきわどいところで、境内に社殿建築用に植えられていた多数の杉の木のかなりの数が折れていました

 次に青年館に行ったのは、区有文書や仏像などが保存されている所です。このうち黄和田畑青年館には、かつて房総史料調査会が整理した黄和田畑区有文書が保存されています。館に近づくと、屋根にブルーシートがかけられていてひょっとしたら被災と思われましたが、布施さんが建物の中の保存場所をご存じで、きわどいところで、雨漏りなどの被害は免れているようでした。柳城青年館は、屋根がすっかりなくなりブルーシートがかけられていて、中をのぞくことができました。どうやら、区有文書などは事前に近接する自治会館に移されていたようで、中に残されてはいませんでした。

 時間的には戻りますが、久留里城址資料館について述べます。ご存じのように、同館へ伺うには、城下の駐車場から坂道を歩いて登っていくのですが、両脇の樹木が多数倒れ、道をふさぎ、通行不能ではありませんが、非常に困難な状態です。また、途中斜面が樹木が倒れたことにより崩壊しているよう箇所もありました。天守閣へ行く道には、ひび割れも生じていました。館自体は被害がなかったのですが、下から館へ到達する電線が寸断され、館は停電中です。そのため、当面休館するということです。ただ、このことが知られていないようで、今日も何組か観光客が来ていました。館は停電中なのですが、職員は様々な片付けのため出勤していました。また、収蔵庫や展示室の湿度調整に苦慮されていて、大量の除湿溶剤を購入し、各所に配置していました。

 最後に赴いたのが神野寺でした。実は、布施さん方で同寺の表門が倒壊したという情報をお持ちでしたからです。向かった最初のルートは通行止めで大きく迂回して反対側から登っていきました。山門と本堂は無事のように見えました(裏から見ると山門の瓦屋根が破損していました)。しかし、国の重要文化財に指定されている表門は情報通り倒壊していました。木が倒れたりしたせいではなく、暴風のためということでした。副住職の方に話を聞くことができ、大正6年以来の大被害ということでした。なお、その背後の奥の院や庫裏なども一部破損していました。また、宝物館自体は無事で、13日に県博協から照会があったようです。

 以上、思いつくままに記述しました。まず、寺社の建物が心配な状態です。今日伺ったなかでも無事なところもありましたが、風や倒木で倒壊・破損しているところがほかにもあるかもしれません。また、古い建物の青年館や自治会館・仏堂などはさらに破損の可能性が強いと思います。民家も屋根が破損した家が多く、中には旧家と思われるものもありますので、歴史・民俗資料が被災している可能性があります。布施さんの方で市内に被災した史料がある場合の情報提供を呼びかける予定とのことですが、当会としても情報発信を行っていく必要があると思います。
(文責:立野)(2019-9-20一部修正済・小関)

台風15号の被害状況⑧

NPO法人ちば・生浜歴史調査会様より、11日の情報でお知らせした旧生浜町
役場庁舎について、状況の詳細をお寄せいただきました。

・屋根については(11日既報)、正確には、主屋根の東側端の洋瓦が20枚以上
飛び、約10枚が落下、残りは屋根の上に引っかかった状態である。

・西隣から屋根のトタン板が数枚飛んできたが、奇跡的にガラス窓には当たらな
かった。

・ガラス窓の戸走りの内側の雨じまいが1・8mmと浅いため、雨水があふれて
民具の莚や俵が濡れ、現在、天日干しで乾燥している。

・展示ケースの内側のフエルト張りもかなり水濡れしたため、陰干ししている。
 
・昭和7年建造の洋風木造の庁舎がこうした被害を受けるのは、今回初めてだと
思われる。

・今後、被災の現状記録をしっかりと取っていく予定。

Appendix

プロフィール

千葉資料救済ネット

Author:千葉資料救済ネット
本ネットは、災害などによって
歴史・文化・自然資料への悪影
響が県内で起こった時に、資料
救済活動をスムースに推進する
ために結成されました。
歴史・文化・自然資料に興味・
関心を持つ人々の連携を推進す
ることによって、有効な救済活
動を実現することを目的として
います。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR